原爆写真集の出版を計画 米博物館長らが来崎 被爆の実相に理解深める

 長崎、広島の原爆投下直後の惨状を収めた写真集を米国で2020年に出版する計画を進めている米テキサス大学傘下の歴史博物館館長らが11、12の両日、視察や関係者との面談のため長崎市を訪問。被爆の実相に理解を深めた。

 博物館は、米国の歴史を主要テーマに関係資料や写真を収集、保存しているブリスコー・センター(テキサス州オースティン)。原爆写真の原板などを保有する民間団体「反核・写真運動」(東京)から800点超のデータなどの提供を受け、写真集出版や写真展の開催を目指している。

 同センターのドン・カールトン館長ら3人が今月上旬に来日し、被爆地長崎、広島や東京などを訪れている。長崎市では11日に長崎原爆資料館や爆心地などを視察。被爆者で日赤長崎原爆病院名誉院長の朝長万左男氏に会い、放射線障害が長く被爆者を苦しめている現状などについて説明を受けた。

 12日は長崎原爆資料館の中村明俊館長と面会。カールトン氏は「米国では、原爆によりもたらされた悲惨な結果に関心がない。だからこそ、そこに目を向けたい」と強調。中村氏は「意義のある仕事であり応援したい」と述べ、出版や写真展への協力を検討するとした。

 カールトン氏は取材に「被爆地を訪れ圧倒された。現場で、肌で感じたことを今後の作業に生かしたい」と語った。

朝長氏(右から3人目)の説明に聞き入るカールトン氏(同2人目)ら=11日、長崎市内

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