横浜市神奈川区の商店街で11日未明、近くに住む女性会社員(34)が刃物で刺されて重傷を負った事件で、強盗殺人未遂容疑で逮捕された無職の男(71)が「護身用に刃物を持って外出していた」と供述していることが13日、捜査関係者への取材で分かった。神奈川県警は、容疑者が隠し持っていた刃物で面識のない女性を襲ったとみて、詳しい経緯を調べる。
捜査関係者によると、容疑者は9月ごろから複数回、護身用として自宅から刃物を持ち出し、腹部に隠し持っていたと供述。女性を襲った理由は「金を奪う目的だった」としており、県警は同容疑者の自宅から押収した刃物を鑑定し、供述の裏付けを進めている。
県警によると、現場一帯の防犯カメラには、容疑者とみられるつえをついた男が女性を追い掛けて背中を刺し、道路を挟んで反対側の歩道に逃げた女性に再び刃物を向ける様子が写っていたことも判明した。女性はその場に倒れ込み、男は追い掛けてきた道を戻る形で立ち去った。
捜査関係者によると、女性は商店街のコンビニに立ち寄った後、徒歩で帰宅途中に不意に襲われたとみられる。背中や腹に複数の刺し傷があり、近くで新聞配達の準備中だった男性に助けを求めた。県警に対し、「男は無言で襲ってきた」と説明していることも新たに分かった。
容疑者と30年来の付き合いという男性(69)によると、容疑者は5、6年前に脳梗塞を患って以降、つえを使い始め、当時の勤務先を辞めてからは無職だった。男性は「お金に困っている様子だとは聞いていたが、悪い人ではなく、まさかという思い」と絶句した。容疑者を知る別の男性(78)は「いつも早朝に散歩していた。なんでそんなことを」と驚いていた。