被爆マリア像発見 故野口神父の手紙を公開

 原爆で倒壊した旧浦上天主堂の「被爆マリア像」をがれきの中から終戦後発見した長崎県長崎市出身の野口嘉右衛門神父(故人)が、像の発見を巡りカトリック長崎大司教区の司祭、川添猛さん(昨年11月に85歳で死去)に宛てた手紙が見つかった。野口神父が像を発見したことは知られているが、この手紙で、発見した時の状況や神父が像の復元へ強い思いを抱いていたことなどが確認できるという。

 手紙は、川添さんの遺品の中から見つかった。13日に長崎市平和町の浦上キリシタン資料館で始まった川添さんの遺品など約200点を集めた一周忌特別記念展で初公開されている。

 同資料館などによると、野口神父は発見した被爆マリア像を北海道の修道院に持参したが、75年に純心女子短大(現長崎純心大)が像を預かり、90年に像は浦上天主堂に戻った。

 手紙によると、川添さんが「像をがれきの下から見つけ出してくれた人の名前を知りたい」などとして雑誌に寄せた文章を野口神父が見つけ、自分が発見者であることを明かすことにしたという。

 野口神父は、見つけた時の状況や、北海道に持ち帰った経緯も手紙で詳しく説明。最後に「実現する可能性があれば、早めに元通りに復元していただきたい」と願いを込めていた。手紙を川添さんに送った時期は不明。

 川添さんは新上五島町生まれ。1960年に司祭となり、長崎と天草、熊本の教会で約50年間にわたり主任司祭を務めた。川添岳石(がくせき)の俳号で俳人としても知られた。

 特別記念展は入場無料。12月16日まで。
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 11月24日午後2時、同資料館で長崎大司教区司祭の古巣馨神父が川添さんについて話す。定員40人(先着順)。入場料500円。事前申し込みは同館に電話・ファクス(095・807・5646)か、メール(urakamicm@mxa.cncm.ne.jp)。

野口神父が川添さんに送った手紙を展示した会場=長崎市、浦上キリシタン資料館

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