独メルケル首相が党首を辞任表明。G7各国の首脳任期との比較

先月、ドイツのメルケル首相が与党キリスト教民主同盟(CDU)の党首を退任し、2021年の首相選に立候補しないことを表明しました。今回はG7の首脳の任期の長さについて解説したいと思います。

そもそもG7とは

G7とは、フランス、アメリカ、イギリス、ドイツ、日本、イタリア、カナダの7つの先進国による国際的な協調枠組みのことを指します。活動としては、環境保護や貿易ルールの制定といった、国際的な問題に対して主要先進国の意見の調整を行っています。この枠組みの下では、首脳が長く任期を務めることは、議論する政策への関わりの継続性やリーダーシップという点において有利になります。現時点で13年首相を務めているメルケル氏はG7においてリーダーシップを発揮しやすい状況にありました。そのため、首相辞任の表明は衝撃を与えたわけです。

G7で任期を長く務めやすいのはどの国か

それでは、G7の国々で任期を長く務めやすいのはどの国でしょうか。各国の最近の3首脳の任期の平均を示したのが以下の表です。

このように各国で大きく平均が異なります。大統領制を採用し任期が固定され、任期の途中で辞任することが稀なアメリカやフランスでは任期の長さは安定しています。一方、議院内閣制を採用している、イギリス、イタリア、ドイツ、日本では任期の長さが大きく異なります。安定してリーダーシップを発揮しやすいイギリス、ドイツ、カナダでは長期政権が展開されます。一方で、安定した政権運営が難しい日本とイタリアは短くなっています。
ただ、現時点で日本の安倍首相はドイツのメルケル首相に次いで長い期間の約6年間にわたって首相を務めています。そのため、リーダーシップを発揮することを期待されているといってよいでしょう。

歴史上最も長く務めたのは…?

歴史上最も長く首相を務めたのはドイツのヘルムート・コール氏(在任:1982-1998)です。コール元首相は、在任中に、アメリカやフランスとの関係を強化し、さらにドイツ統一に対して大きく貢献しました。長期政権による外交の安定化とそれによる内政の主要課題の達成を同時に果たしたと言えるでしょう。

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