蔵に活気、火災の老舗酒造「山陽盃」が仕込み再開 兵庫・宍粟

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仕込みに向けて米を洗う作業を始めた蔵人ら=山陽盃酒造

 8日朝の火災で県景観形成重要建造物の母屋などが燃えた山陽盃酒造(兵庫県宍粟市山崎町山崎)で、酒の出荷や仕込み作業が再開した。同社の銘柄「播州一献」は国内外の三つ星レストランや有名ホテルで扱われるなど人気で、応援メッセージや支援物資が全国から千件近く届いているという。「ファンの方々に早く新酒を届け、負けずに頑張っていることを伝えたい」と、蔵人らが仕込み作業に駆け回った。

 火災では、古い道具類を保管していた築約150年の倉庫と、山崎地区を代表する歴史的建造物だった母屋が燃えた。同社によると、ボイラーの煙突に穴が開き、吹き出た熱風で倉庫の壁の柱などが炭化して発火した可能性があるという。

 醸造設備がある仕込み蔵などは大きな被害を免れており、12日午前には酒米を洗い、蒸す作業を始めた。製品の出荷もこの日から再開した。

 火事の後片付けには近隣住民や姫路酒造組合の仲間らも駆けつけた。同社の壺阪雄一専務(38)は「多くの方に力をいただいた。このご恩を返していきたい」と感謝した。

 同社周辺は3軒の酒蔵が並ぶ観光名所で、近くの最上山公園で17日から始まる「もみじ祭り」に合わせて露店などが並ぶ。壺阪専務は「大きな火災で近隣に迷惑と心配をかけ申し訳ないが、祭りは例年以上に盛り上がってほしい」と話し、同社も酒蔵前で酒の試飲販売などを行うという。(古根川淳也)