DVをなくす

 妻や交際相手にドメスティックバイオレンス(DV)を振るった男性が、別れた後も付きまとって危害を加えるなど、DVは被害者を追い詰めていく▲そんなDVを生み出す土壌を変えていこうと、内閣府などが主唱する「女性に対する暴力をなくす運動」が25日まで展開されている。県内でも啓発講座などが開かれる▲女性に対して暴力を振るう男性は、男らしさについてゆがんだ思い込みを持っていることがあると専門家は指摘する。「男性は女性より優れていなければならない」「男性は女性を所有物のようにコントロールできる」などと▲それが現実の相手には通らない欲求不満が、暴力という形で噴出するのかもしれない。暴力を振るう側が考え方のゆがみを自覚することが重要だろう。そんな考えに基づいて発足したながさきDV加害者更生プログラム研究会は今年、加害男性に自分自身を見つめてもらうための研修を初めて開催した▲暴力とは殴る蹴るばかりではない。「相手のスマホのデータを勝手に消したり、相手の行動を束縛したりするのも一種の暴力」と、NP0法人DV防止ながさきは啓発する。被害者は女性に限らない▲自分の気持ちは、暴力ではなく穏当な言葉で相手に伝えたい。それが相手を対等な存在として尊重することだろう。(泉)

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