秋の全国火災予防運動 五島・江上天主堂 世界遺産守れ! 信徒ら訓練

 長崎県五島市奈留町の江上天主堂周辺で11日、建物火災を想定した訓練があり、地元の信徒や消防団員ら約50人が速やかな消火活動に向けた連携を確認した。

 同天主堂は1918年に完成した木造教会。国の重要文化財で、世界文化遺産「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」の構成資産「奈留島の江上集落」内にある。訓練は地域住民の文化財保護への意識を高めようと、数年ぶりに実施した。

 消防団員らは、手押し車で細い坂道を駆け上がって天主堂の前までホースを延ばし、放水する手前までの動作を確認。近くの旧江上小校舎を火元と想定した訓練も実施し、旧校舎に向けて実際に放水した。

 その後、普段から同天主堂を管理しているカトリック奈留小教区の信徒らが、通報や消火器を使った初期消火、観光客の避難誘導などの訓練に取り組んだ。奈留教会のキム・ドンウク主任司祭(37)は「近くに住民が少なく、木造の建物なので、発見が遅れると大変。地域の人と協力し、対応したい」と話した。

江上天主堂の前にホースを引き、放水する手前までの流れを確認する消防団員ら=五島市奈留町

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