講道館柔道の創設だけじゃない 嘉納治五郎、数々の「顔」

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嘉納治五郎(講道館提供)

 神戸・御影出身の嘉納治五郎(かのうじごろう)(1860~1938年)を顕彰する取り組みが活発になってきた。講道館柔道の創設者として広く知られているが、教育者、戦前の東京五輪誘致の立役者としての「顔」には、なじみの薄い人も多い。来年のNHK大河ドラマに登場するほか、2020年東京五輪も控える。この機を捉え、神戸市や地元住民らが、功績を伝える冊子の配布や新たな記念碑づくりに動きだした。(段 貴則)

 嘉納治五郎は、現在の神戸市東灘区で生まれた。講道館柔道を創設した一方、東京高等師範学校(現筑波大学)の校長や、東洋で初めて国際オリンピック委員会(IOC)の委員にも就いた。

 日本が初参加した1912(明治45)年のストックホルム五輪では日本選手団長を務め、40(昭和15)年の東京五輪誘致に成功した。戦争の激化で開催されなかったが、「日本体育の父」とも呼ばれる。

 来年のNHK大河ドラマ「いだてん~東京オリムピック噺(ばなし)~」は、ストックホルム五輪から64(同39)年の東京五輪開催までを中心に描く。歌舞伎俳優の中村勘九郎さん演じる物語前半の主人公・金栗四三(かなくりしそう)の恩師として、役所広司さん演じる嘉納治五郎が登場する。

 広く関心が高まるのを見据え、東灘区役所などはこのほど、冊子「御影が生んだ偉人 嘉納治五郎」を発行。御影出身の道谷卓(たかし)・姫路獨協大副学長が執筆し、同区役所などで無料配布を始めた。

 「柔道家、教育者、日本体育の父。まさに超人」と道谷さん。「柔道界では世界中の人が知っているが、教員養成の礎を築いたことや、命を懸けた東京五輪誘致の舞台裏などに、もっと光を当てたい」と話す。

 地元では昨年、耐震改修工事を終えた御影公会堂(神戸市東灘区)内に、治五郎の銅像や直筆の書などを展示する記念コーナーが新設されたが、新たな記念碑を建てる動きも出てきた。

 同区役所などが、治五郎生誕の地をアピールする石碑づくりを検討。年内の設置を目指し、調整を進めている。担当者らは「御影出身の世界的な偉人を広く知ってほしい」と話す。

 冊子の問い合わせは、東灘区役所まちづくり課TEL078・841・4131