やっぱり遅刻のプーチン氏、国内でも批判 60カ国の首脳ら待たせ、「女の子」の作法?

By 太田清

11日、パリの凱旋門の式典会場に到着したロシアのプーチン大統領(手前)。中央はフランスのマクロン大統領、左から3人目はトランプ米大統領(ロイター=共同)

 世界の要人との会合で遅刻を繰り返すことで有名なロシアのプーチン大統領だが、安倍晋三首相との首脳会談などが行われたシンガポール到着もやはり遅れ、同国のハリマ大統領による13日の歓迎式典が2時間以上遅延。この影響で、同日予定されていたシンガポールのリー・シェンロン首相との会談が14日に延期になった。

 プーチン氏はモスクワで今年5月に行われた安倍首相との首脳会談でも50分近くも遅刻。9月に極東ウラジオストクで行われた会談は2時間半遅れ。2016年12月に来日した際には、安倍首相との会談場所である山口県長門市への到着が2時間40分遅れた。 17年7月にドイツ北部ハンブルクで行われた会談では、1時間半ほど遅れ、珍しくも会談冒頭で「おわびしたい」と遅刻をわびた。同年4月にモスクワで行われた首脳会談でも、予定時間から30分遅れるなど、わが国の首相との会談でも遅刻を繰り返している。

 そうしたプーチン大統領もさすがに11日、パリの凱旋門で開かれた第1次大戦終結100年の記念式典に遅れて到着したことについては国内でも批判を受けている。小雨が降る中、トランプ米大統領夫妻、メルケル・ドイツ首相、マクロン・フランス大統領ら60カ国以上の首脳らを待たせることになった様子がテレビで伝えられ、否が応でも目立ってしまった。 

 ラジオ・フリー・ヨーロッパなどによると、政治学者で評論家のアレクサンドル・モロゾフ氏はフェイスブックで「戦争に参加した民族の和解を記念するイベントで、このような挑発的な態度をとることに何の意味があるのか。自分をコントロールできていない。仕事のしすぎで気がふれたのか」と批判。 

 ロシアのニュースサイトなどを運営するグレブ・パブロフスキー氏は「プーチンは(時間通りに来ると言う面で)決して自分を律することはできない。他の人たちがどうやって我慢できるのか分からない」と酷評。独立系テレビ「ドシチ」などで働くジャーナリストのナタリヤ・ゲボルキャンさんは「女の子には、最後にやってきて視線を自分に集めようという作法があることは知っているけど、プーチンも女の子の作法があるの?」とからかった。 

 あるツイッターのユーザーは「私が仕事に遅れると給料が減らされるのに、プーチンの場合は『最後に到着した』で済ますというのはどういうこと。自分の飛行機もあるし時間管理してくれるマネージャーもいるのにどうして『最後に到着』できるわけ。荷造りに時間がかかったの」とプーチン大統領を叱った。

  現在のところこうした非難は、体制に批判的なジャーナリストや識者に限られているが、一般国民はどう見ているのだろうか。もし日本で安倍首相が同様な遅刻を繰り返せば、猛烈な批判は避けられないだろうが、そこは「国父」プーチン氏だけに大目に見ているということなのか。政治家だけでなく、英国のエリザベス女王やローマ法王フランシスコらに対しても遅刻を繰り返す遅刻魔のプーチン氏だが、あまりの頻度に、「相手より格上に見せるため、わざとやっている」との説もある。 (共同通信=太田清)

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