BSL4 12月着工 長崎大学長が正式表明

 長崎大が長崎市の坂本キャンパスに設置を計画している感染症研究施設「バイオセーフティーレベル4(BSL4)」について、河野茂学長は14日、有識者や周辺の自治会長らでつくる地域連絡協議会で、「迫り来る感染症の脅威への対応という点を総合的に勘案し、手続きが整い次第、12月に着工したい」と正式に表明した。

 同施設はエボラ出血熱など致死率が高い感染症の病原体を扱うため、坂本キャンパス周辺の住民の中には根強い反対論もある。長崎大は先月、建築基準法に基づき建築物の計画通知書を長崎市に提出し、早ければ12月21日にも着工するとしていた。

 河野学長は地域連絡協議会で21回議論を重ねてきたことや、国、県、長崎市との協議の経緯を説明。安全性確保のための施設設計を住民説明会やパンフレットなどで提示してきたとし、「大学の取り組みに期待の声がある一方、不安を抱く地域の方がいることも承知している。引き続き住民の声に謙虚に耳を傾けながら計画にご理解をいただくよう努める」と述べた。

 長崎大は2021年度の施設完成後、試運転を実施。22年度以降、感染症法に基づきBSL4施設の指定を受けた後、段階的な稼働を経て本格稼働を目指す。この間、施設従事者への教育訓練のほか、安全管理マニュアル、地域への情報開示のあり方の検討・調整なども並行して進める。

 地域連絡協議会では委員から「住民が置き去りにされたまま計画が進められている」といった批判や、「エボラウイルスなどが日本に入ってきた時に備えてきっちり準備をしてほしい」などの賛成意見が出た。

 長崎大のBSL4施設を巡っては、政府が2016年11月、「国策」として推進することを関係閣僚会議で決めている。

地域連絡協議会で12月着工を正式表明した河野学長=長崎大坂本キャンパス

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