負債24億7000万円 旧五島産業汽船 船舶仲介業失敗

 長崎地裁から破産手続きの開始決定を受けた旧五島産業汽船(新上五島町)は14日、関連会社を合わせた負債総額が24億7千万円に上ることを明らかにした。経営破綻の要因は、船舶のブローカー(仲介)事業で失敗し、資金繰りが急速に悪化したためと説明した。
 県庁で記者会見した代理人弁護士によると、旧五島産業汽船の負債額は20億2千万円で債権者は元従業員35人を含む92人。関連会社のジィ・エス・ケイの負債額は4億5400万円で債権者は元従業員33人を含む76人。
 負債の回収見込み額は旧五島産業汽船が4700万円、ジィ・エス・ケイが500万円にとどまる。回収額の配当は賃金や社会保険料などの未払い分を優先し、一般債権者に対する配当はほとんど見込めないという。
 ブローカー事業は野口順治社長の主導で実施。4月以降、インドネシア企業との3億円規模の取引が成立せず、資金不足に陥った。経理上の処理をしていない簿外取引もあるという。粉飾の可能性について代理人弁護士は「今後調査しないといけない」とした。
 佐世保-有川(新上五島町)航路で使用していた「フェリーありかわ」(498トン、定員252人)は壱岐・対馬フェリー(福岡市)など複数の企業が購入を打診しているという。
 長崎地裁は破産管財人に山下俊夫弁護士を選任した。債権者集会は来年3月20日の予定。

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