藤井克徳 「わたしで最後にして-ナチスの障害者虐殺と優生思想」旧優生保護法も障害者雇用の水増し問題も、決して過去の話ではない

ナチスドイツによって行われた大量殺害ホロコースト。このリハーサルとも言われる障害者を標的にしたもう一つの大量殺害「T4作戦」を知ったとき、私の脳裏は恐怖という言葉で覆い尽くされてしまった。病院や施設から連れ出された障害を持つ人々が、シャワー室という名のガス室に送り込まれ、息絶えていく。「働く能力のない者」という優生思想に基づいた選別基準で罪なき者たちが大量に殺害されていく。この優生思想は決して昔の話ではない。杉田議員の論文や、戦後最大の殺傷事件である相模原の障害者施設で起きた問題も、少しずつ形を変えながら今も社会に蔓延し続ける思想である。社会が許容し続ける限り優生思想は残り続け、別の新たな問題を引き起こす引き金となる。旧優生保護法も障害者雇用の水増し問題も、決して過去の話ではない。これからの未来を危惧する一部でしかない。無関係と放置し続ければ永遠になくならない問題である。(LOFT/PLUS ONE:宮原塁)

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