【高校野球】星稜・奥川にスカウト驚嘆「全てが高校生離れ」神宮で輝いた逸材たち

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9月には侍U-18代表にも選出されていた星稜・奥川恭伸【写真:Getty Images】

豊富な投手陣で神宮大会を制した札幌大谷

 13日に神宮球場で行われた明治神宮大会高校の部決勝は、札幌大谷が2-1で星稜を下して初出場ながら初優勝。この試合をもち、2018年の高校野球公式戦の全日程が終了した。

 振り返ると、今年は夏の選手権大会が100回大会ということで、夏を迎える前から大いに盛り上がった。センバツを制した大阪桐蔭が夏の甲子園も勝ち抜き、史上初の2度目の春夏連覇を達成した。決勝戦では、劇的な勝利を次々とものにし、勝ち上がってきたエース吉田輝星擁する金足農と対戦。点差はついたが、103年ぶりの県勢の決勝戦を戦った金足農の勇姿に酔いしれたファンも多く、「金農ブーム」が巻き起こった。世間を席巻するほど甲子園が注目されたのは、12年前の斎藤佑樹を擁する早稲田実が勝ち上がった夏以来かもしれない。

 その直後から、来春のセンバツ出場をかけた秋季大会が始まった。10月上旬からは地区大会が全国で繰り広げられ、各地区の優勝校計10校が、9日から神宮球場に集結した。

 優勝した札幌大谷は来春のセンバツ出場が確実視されているが、出場すれば春夏を通じて初の甲子園出場となる。エースの西原健太は初戦の龍谷大平安戦でも5回まで1安打に抑える力投を見せ、決勝でも星稜打線を1安打1失点に封じた。最速140キロのストレートとキレのある変化球を丁寧に投げ分ける。サイド右腕の太田流星、小気味良いピッチングを見せる増田大貴など投手陣も豊富で、初の大舞台で本領を発揮した。

 対する星稜は何と言ってもエースの奥川恭伸が強い存在感を見せつけた。初戦の広陵戦で7回11奪三振無失点。準決勝の高松商戦でも7回12奪三振の圧巻のピッチングを見せた。

 最速149キロのストレート、大きく曲がるスライダーと落差のあるフォークはもちろんのこと、それ以上に光ったのは、抜群のコントロールだ。2ストライクに追い込むと簡単に三振を取れる糸を引くような制球力に、あのスピードボールがあればなかなか手が出ない。今大会15回1/3を投げ、四球はわずかに2個。北信越大会決勝戦で延長15回を投げ抜いた際は無四球だった。

 ストレートのスピードを4段階に入れ替える投球術も持っており、走者を背負うとさらにギアチェンジができる。観戦していたプロ野球のスカウトが「全てが高校生離れしていて、もう何も言うことはないよ」と舌を巻くほどの完成度を誇る右腕は、今大会の主役だったと言っていい。

広陵の3投手はひと冬越しての成長に期待

 その星稜に初戦で完敗した広陵だったが、先発した本格派左腕の石原勇輝、エースの河野佳、森勝哉の3本柱が気を吐いた。河野は最速140キロ半ばの速球と絶妙なコントロールが持ち味で、中国大会の準決勝で西純矢(創志学園)に投げ勝った。3投手ともフィールディングも良く、ひと冬超えてさらに成長すれば来春のセンバツでも注目されることは間違いない。

 4強の筑陽学園は、初戦の桐蔭学園戦で本塁打を放った6番・福岡大真を筆頭にスイングの強い打者が目立った。八戸学院光星は主将で3番を打つ武岡龍世の好守にわたるセンスの高さが目を引いた。関東大会で3本塁打を放ち注目された森敬斗(桐蔭学園)は神宮大会では無安打、3失策と精彩を欠いたが、この経験を来春にどう生かしていけるか。東邦はこの秋エースナンバーを背負った石川昂弥が投打の柱だが、打者としてのセンスの高さを評価するスカウトが多く、来年はどのような形で注目を浴びていくのか楽しみだ。

 地区大会上位進出校の枠を超えると、来年もっとも注目を浴びそうなのは最速157キロのストレートを持つ佐々木朗希(大船渡)だろう。奥川、西、152キロ左腕の横浜・及川雅貴(横浜)など、来年は好投手の多い年とも言われている。来春の選抜大会出場が濃厚なのは奥川のみだが、選抜、そして来夏の選手権に向けて長い目で見れば、さらに楽しみは増す。

 これから野球シーズンはオフに突入するが、冬場の鍛錬が春、そして夏を左右すると言われる。長い冬の時期を有効に活用し、来シーズンに繋げてもらいたい。(沢井史 / Fumi Sawai)