「イートファクトリー」初代監督の元オリ大島氏 “仰木野球”に「近づけたら」

「イートファクトリー」硬式野球部の監督に就任した大島公一氏(中央)【写真:橋本健吾】

「イートファクトリーベースボールクラブ」の初代監督に就任

 元近鉄、オリックス、楽天で活躍した大島公一氏が、来年4月に結成される硬式野球部「イートファクトリーベースボールクラブ(愛称:満マルビリケンズ)」の初代監督に就任することになった。新球団で初の監督業をスタートする大島氏がインタビューに応じ「日本一、プロ野球選手の輩出……」など新チームでの意気込みを語ってくれた。

 2005年に現役を引退してからは2015年までオリックスのコーチを務めた大島氏。ユニホームを脱いでからも解説者、筑波大学大学院コーチング専攻に在学するなど様々な視点から野球を見つめ直した。同社ではヤクルト、ロッテで活躍し2013年から2015年まで日本ハムの1軍ヘッドコーチを務めた阿井英二郎氏がシニアアドバイザー(SA)として大島氏と共に新球団を作り上げることになる。

「指導現場を離れていましたが、嬉しかったです。近年では社会人野球チームは減少傾向にあります。新しい球団は自己の成長、そして野球をできる環境がある。選手にとってはありがたいこと。野球の底辺拡大にも素晴らしいことだと思います」

 現役時代は近鉄、オリックス、楽天の3球団でプレー。通算1375試合に出場し打率.261、24本塁打、334打点、71盗塁をマーク。ベストナイン2回、ゴールデングラブ賞3回と輝かしい成績を残し、オリックス時代はイチローとの1、2番コンビが他球団の脅威となった。2006年から2015年まではオリックスの打撃コーチなども務め指導者としての経験も豊富だ。目指す監督像には恩師の名を挙げた。

「様々な素晴らしい監督にお会いできましたが、やはり僕の中では仰木(故仰木彬)さん。もう20年ぐらいも前から先見性の野球をやっていた。データ、個性、相性など現代の野球を見据えていたかのような野球でした。選手の能力を見極める高さは凄かったですね。少しでも近づけたらと思っています」

 大島氏もプロ入り前には日本生命で社会人野球を経験。都市対抗に出場し日本一を勝ち取ることが容易ではないことも、もちろん承知の上だ。それでも無限の可能性を持つ新球団への熱い思いを口にした。

「いきなり新しいチームが勝てるほど社会人は甘くない。どれだけの道のりになるか、大きな山があるかわかりませんが、やるからには日本一を目指す。そしてこの球団からプロ野球選手が誕生してくれれば。ゼロからのスタートですが皆と球団を作っていきたい」

求める選手像は「元気が一番」

 11月23日にはトライアウトが行われ、第1期生が誕生することになる。新監督が求める選手像は一体、どのようなものなのか。

「やはり元気が一番ですね。体で元気を表現できる人。まだまだ野球を続けたい選手たちがこの環境で挑戦できることは僕は羨ましい。自分たちが気づいていない能力はまだまだあることを伝えられればと思っています」

 「イートファクトリー」は人材育成に力を入れているということもあり、引退後の正社員雇用などといった条件も組み込まれている。野球をしながら、社会人としても色々なことを身につけられる環境が揃っている。

 大島氏の“右腕”として人事総務部長を務める中西隆二さんは「働きながら野球をしてもらうので、会社員としても新たな風を吹き込んでほしい。将来的にはフランチャイズのオーナーが野球部員から生まれてくれれば。現段階でも相当な決意を持ってトライアウトに参加して下さる人もいます。我々も大きな責任を持ってこのトライアウトを実施します」と将来的なビジョンを口にした。

 自身初の監督業をスタートする大島氏は「教えは2度目の学び」と語り、選手からも学びを問う姿勢でゼロから新球団を作り上げるつもりだ。

 トライアウトには年齢制限を設けず、野球への情熱を持つ選手は全員参加してもらう方針。大阪を中心に「屋台居酒屋大阪MANMARU」や「大阪新世界山ちゃん」、「ベトナム屋台酒場デンロン」を国内外で70店舗展開する「イートファクトリー」の試みに注目が集まる。(橋本健吾 / Kengo Hashimoto)

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