25年ぶりにオペラ「静と義経」 作者のなかにし礼が再演喜ぶ

 1993年秋に鎌倉芸術館(鎌倉市)の開館記念作品として製作されたオペラ「静と義経」が2019年3月、25年ぶりに都内で再演される。鎌倉公演に出演し、現在は日本オペラ協会総監督を務める郡愛子が、同協会の創立60周年記念公演として光を当てた。作者のなかにし礼(80)は「鎌倉公演での盛況を知る郡さんが、再び取り上げてくれたことがうれしい」と喜び、今回も監修として関わる。

 「静と義経」は93年当時、鎌倉在住だったなかにしが鎌倉芸術館の開館記念委嘱作品として製作・演出。武士が権力を握った時代を象徴する数々の歴史上の人物が登場し、故三木稔によるドラマチックな音楽を加えたグランドオペラとして好評を博した。しかし出演者が多く製作費がかかることなどから、再演されてこなかった。

 郡は鎌倉公演で、静の母「磯の禅師」役で出演した経験を振り返りながら、平成の終わりに同作を再演する理由を「平成を超えて次の時代につなぎたい作品。世界にも向けて発信したい」と説明。「おなじみの名場面、歴史絵巻を思わせる感動と興奮があるオペラ」と魅力を語った。

 なかにしも「大変な熱意を持って書いた作品で自信がある。静と義経という国民的に知られた物語を結実させたい」と意気込んだ。

 指揮は気鋭の女性指揮者・田中祐子を起用し、同協会会員の歌手ら約50人が出演。美術装置や衣装などは新調する。

 19年3月2、3の両日、新宿文化センター大ホールで両日とも午後2時開演。チケットはS席1万2千円など。問い合わせは日本オペラ振興会チケットセンター電話03(6721)0874=平日午前10時~午後6時。

会見するなかにし礼(中央)=東京都内

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