全国高校生歴史フォーラム 壱岐高が佳作 大久保遺跡・和土器の研究論文

 長崎県壱岐市石田町の縄文遺跡「大久保遺跡」で採取した「貝殻粉混和土器」について調べた県立壱岐高(平山啓一校長・488人)の東アジア歴史・中国語コース歴史学専攻の2年生5人の研究論文が、「第12回全国高校生歴史フォーラム」(奈良大、奈良県主催)で佳作に選ばれた。実験を通じ、土器に含まれる貝殻の割合や、成形時に海水を使ったことなどを推測した。
 論文を書いたのは、中村史明さん(16)、松坂ビンセントさん(17)、安永雅登さん(17)、與賀田(よがた)尚吾さん(16)、市山沙代子さん(16)。代表の中村さんは「貝殻粉混和土器は県内では壱岐、対馬、五島列島、佐世保の高島など、島しょ部で多く発見。なぜ島しょ部からなのか、貝殻を混ぜたのかなどの研究は進んでおらず、解明したかった」と話した。
 生徒たちは5月上旬、同遺跡で土器片を採取。7月下旬から同市芦辺町の県埋蔵文化財センターで、職員らの指導を受けながら土器片の成分などを調べた。生徒たちは遺跡近くの砂浜で採取した貝殻を砕き、土器に見立てた粘土板を作成。板に含まれる貝殻の割合を75、50、25、0%の4種類つくり、つなぎの砂の有無や、成形時に真水と海水のどちらを使うかなど計16パターンを組み合わせ、貝殻粉混和土器にどれが最も近いかを探る実験をした。この結果、「貝殻の割合は50~25%。成形時に海水を使用した」と推測。砂の有無については違いが分からなかった。
 生徒たちは12月16日、同校で保護者や市民に研究の成果を発表する東アジアコース発表会に向け資料作りに励んでいる。中村さんは「正確な分量など今回の研究で調べきれなかったことや、残った疑問がある。今後、発展研究として調べていきたい」と話した。
 「第12回全国高校生歴史フォーラム」は73件の応募の中から、優秀賞5点、佳作5点が10月24日に発表された。本県からの応募は同校だけだった。

東アジアコース発表会に向け資料を作る生徒たち=壱岐高
生徒が作成した実測図と粘土板

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