通潤橋復旧、20年3月に 地震前の膨らみは修復せず

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石垣の一部が崩落し、応急対策が講じられている通潤橋=15日、山都町

 山都町は15日、熊本地震で被災し、復旧工事中に石垣の一部が崩落した国指定重要文化財・通潤橋について、復旧工事は崩落箇所と周辺の最小限にとどめ、地震前から発生していた橋上部の膨らみは修復しない方針を示した。2020年3月の完了を見込む。

 同日開かれた、学識者らでつくる通潤橋保存活用検討委員会の本年度初会合で説明した。

 通潤橋は、町が17年4月に復旧工事に着手。18年中に完了する予定だったが、同年5月の大雨で南側の根元部分の石垣が長さ約10メートル、高さ約4メートルにわたって崩落。崩落箇所は地震前から外側に最大20センチ膨らんでいたが、復旧工事では地震による最大15センチの修復にとどめていたことが明らかになっていた。

 会合では、町担当者が「橋上部の土が固まらない内に大雨が降り、土が水を吸収したことが崩落の原因と推定される」と説明。崩壊した石垣の石94個のうち、93個を特定できたと報告した。地震前からの膨らみは「できる限り現場で調整する」とした。

 委員からは「町経済は大変厳しい状況が続いており、一日も早い復旧を」「文化財としての価値を損なわずに後世に残さなければならない」「復旧過程の積極的な情報発信が必要」などの意見が出た。

 町は委員会の意見を踏まえて復旧案を決定する。12月中に国に事業申請し、早ければ来年4月にも着工する方針。(九重陽平)

(2018年11月16日付 熊本日日新聞朝刊掲載)