「核抑止」に多様な意見 委員と長崎市民、被爆者ら交流

 核軍縮に関する「賢人会議」に出席した核保有国や非保有国の専門家ら委員15人は15日、平和活動に取り組む団体や被爆者、高校生ら12人と長崎市内で意見交換した。委員からは「核抑止」を巡る賛否などさまざまな意見が出た。
 市民代表のうち、非政府組織(NGO)核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)の川崎哲国際運営委員は「いかなる核の使用も国際人道法に反する」と指摘。創価学会平和委員会事務局長の河合公明氏は「核抑止は本当に私たちを守ってくれるのか」と質問した。核兵器禁止条約に賛同していない日本政府を巡り見解を求める人もいた。
 こうした声に対し、委員の米カーネギー国際平和財団副会長、ジョージ・パーコビッチ氏は「国際人道法に触れない範囲で核兵器を使えるという考えがある」とした上で「通常兵器だけだと自国を守るために戦わないといけないが、核兵器を持っていれば戦争をしなくていいと国民を説得しやすい、との話がある」と述べた。
 一方、笹川平和財団参与の山口昇氏は「核抑止への依存度を下げるべき」と強調。委員の元国際原子力機関(IAEA)検証安全保障政策課長、タリク・ラウフ氏は「核兵器はかなり使いにくい状況であり、核抑止の理論そのものも維持しづらくなっている」と指摘した。
 委員はこの日、原爆投下時、爆心地から約500メートルで多くの児童・教員が犠牲となった市立城山小(城山町)も訪ね、被爆校舎「旧城山国民学校校舎」を視察した。6年生90人は同校で歌い継がれている合唱曲「子らのみ魂よ」を披露した。

長崎市立城山小の児童(左側)から歓迎の言葉を受ける賢人会議の参加者=同校

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