プリＫ入学前から通える他、公立とは異なる信念や教育方針が個性的なマンハッタン内の私立２校に、２児のママであるライターＧが取材に訪れた。
多様性の真ん中に身を置く
インターナショナル・プリスクール
10月某日、取材のため学校を訪れるとちょうどカーニバルの最中だった。広間はさまざまな国籍の親子で活気にあふれている。
受付では「初めまして」と日本語であいさつを受けた。筆者が見学した中で、これほど日本人フレンドリーな現地校は他になかった。在籍する日本人生徒は三つの校舎を合わせ20人弱で、１クラスに１人程度いる計算だ。
２歳児の教室では、各生徒の名前と背景となる国旗が飾られていた。多い子は五つ以上の国に縁を持ち、いかにこの学校が多様性を持つか実感させてくれる。同校に昨年、娘を通わせていた、ゆりこさんが「多様な人や文化に触れる経験をさせたいと思ったので選んだ」と言う通り、多様性抜きにこの学校は語れない。
学校を特徴です付ける行事がＵＮデー。各児童がそれぞれの国の衣装に身を包み、スナックを持ち寄ってお互いの文化を祝う日だ。「台湾出身の親がお正月の伝統文化を教えに来てくれたり、節分について日本の親が話をしに行ったり、家族も主体的に関わりながらそれぞれの文化について理解を深め合う雰囲気があった」という。生徒の子供だけでなく家族全体が一つのコミュニティーを形成し、お互いの違いを認め合う雰囲気がある。
さらに特筆すべきは、英語習得のサポート。英語が母国語でない生徒が多数いるため、教師陣は遊びを通して英語を身に付ける工夫をしている。さらに英語を話せない親へのサポートも手厚い、とゆりこさん。「私は英語に不安がありましたが、大切なことは口頭だけでなくメールで教えてくれるのでとても助かりました」。全校で２人の日本人教師が在籍、日本人家族のコミュニティーもあり、入学と同時にコミュニティーの幹事に連絡がいき、サポートが開始されるのも心強い。
カリキュラムとして面白いのはｉＰａｄティーチャーがいて、３歳児以上のためにプログラミングやコーディングを教えているという。卒業後の進路相談も手厚く、いきなり公立のプリＫに子供を通わせることにためらっている人や、まず英語環境に慣れたい家庭にうってつけだ。
The International Preschools
www.ipsnyc.org
1歳6ヵ月～5歳
集中力と決断力を育む
ツインパークス・モンテッソーリ
モンテッソーリ教育がイタリアで誕生したのは約１００年前。単に情報を与えられるだけでなく、自発的に取り組むことで最高の学びを得ることができるという信念に基づき、今や世界中で親しまれている教育法だ。今回はセントラルパーク沿いに佇むモンテッソーリスクール、ツインパークスを取材した。
モンテッソーリの特色は「自由」と「自立」にある。生徒たちは「ＷＯＲＫ」と呼ばれる作業を一つ選び、心ゆくまでそれに没頭する。好きな席に座っても、床に寝転びながら行ってもいい。スナックタイムですら時間は決まっておらず、空腹を感じたら自分で軽食をサーブするのだ。一方ルールもある。他の子が行っているＷＯＲＫをやりたい場合は順番を待つ、道具を使ったら必ず元の場所に戻す。食事前には自ら手を洗い、食後は皿を片付けることまで行う。ディレクターのロビンさんは「自ら選ばせ、決断させることで学ぶことの楽しさと責任を教えています」と話す。
ＷＯＲＫで使う道具はほとんどが木製で、大きさや重さが少しずつ異なる木のブロックや一つずつわずかに音色が異なる楽器。食べ物に見立てたおはじきを皿からコップに移すといったＷＯＲＫもあった。共通点はただの遊びではなく、すべてが学びにつながっていること。強制されがちな座学ではなく、進んで体感することにより数字の概念や音感、手先の器用さまで自然と身に付くのが魅力だ。
「アルファベットも声に出し、文字をなぞって覚えるんです。学び方を学ぶ。学ぶことを愛し、生涯学び続けることを目指しています」とロビンさんが語るように、短期的な詰め込み型教育とは一線を画していた。
わが子を同校に通わせているリサさんは「子供の自発性の発達や、時期別に訪れる能力の獲得の機会を逃したくないと思い選びました。適度に遊び、適度に学ぶ中で多様性、自主性、自発性、及び自信を身に付けてほしい」と語る。
なお生徒の母国語に合わせて先生はいくつか簡単な単語を覚えてコミュニケーションを取ってくれたり、通学前に家庭訪問して仲を深めたりときめ細やかな配慮も魅力的だ。
The twin parks Montessori
www.twinparks.org
3ヵ月～PreK
