地球市民集会ナガサキ開幕 核禁条約 早期発効を 北の非核化 進展期待

 国内外の非政府組織(NGO)関係者らが核兵器のない世界の実現に向け議論する「核兵器廃絶-地球市民集会ナガサキ」が16日、長崎市で始まった。実行委員長の朝長万左男・日赤長崎原爆病院名誉院長は開会集会の基調報告で、核兵器禁止条約の早期発効や、北朝鮮の非核化と日本を含む「北東アジア非核兵器地帯」構想の実現へ期待を示した。
 集会は5年ぶり6回目。3日間の日程で朝鮮半島非核化や被爆の継承などをテーマに四つの分科会を設け、軍縮専門家や被爆者、学生らが「核なき世界」への展望を探り意見交換する。
 開会集会には市民ら約450人が参加した。朝長氏は基調報告で昨年の核禁止条約の国連採択と核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)のノーベル平和賞受賞を歓迎。北朝鮮の非核化協議の進展に期待を寄せ「対話から生まれる信頼醸成こそ核抑止政策を克服する唯一の方策だ」と述べた。
 一方、核保有国や日本など「核の傘」依存国については「核禁止条約に署名せず、条約推進国を圧迫さえしている」と批判した。米ロなどの核保有を認める核拡散防止条約(NPT)の下で核軍縮が停滞する現状を懸念。核禁止条約は、NPTと補完関係にあるとの見方を示し「国際規範となることを願う」と語った。
 NGO代表であいさつした米西部諸州法律財団事務局長のジャクリーン・カバッソー氏は、米政府が広島、長崎に原爆を投下したことを批判し「米政府はまず過ちを認め、謝罪すべきだ」と指摘。核抑止論を乗り越え、核廃絶を実現するために「世論を動かそう」と会場に呼び掛けた。
 開会集会では、日本軍縮学会初代会長の黒澤満氏による講演や、被爆者の意見発表、被爆者でつくる合唱団「ひまわり」の歌の披露もあった。最終日の18日には「長崎アピール」を採択する。

戦争のない世界を願い合唱などが披露された地球市民集会ナガサキの開会集会=長崎市平野町、市平和会館

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