弘大・殿内教授ら白神ブナから新細菌発見

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殿内教授らのグループが発見した細菌の電子顕微鏡画像。中央の二つの細胞が粘質層に包まれているのが分かる(殿内教授提供)

 弘前大学農学生命科学部の殿内暁夫教授(微生物生態学)らのグループが、白神山地のブナの樹皮から、他の細菌の仲間とは特徴が大きく異なる新しい細菌を見つけた。生物分類階級の上位に当たる「目(もく)」レベルでの新発見で、新しい目の創設を提案している。これほどの発見は国内でも珍しく、白神山地から見つかるのも初めて。この細菌は多糖性の厚い粘質層に包まれた特異な構造をしており、乾燥に強い性質がある。この特徴を生かし、殿内教授は詳しい生態を研究しながら、化粧品素材などに応用できるかについても検討していく方針だ。

 16日、取材に対し殿内教授が明らかにした。研究成果をまとめた論文が、国際微生物学会が発行する原核生物分類学の国際誌に近く掲載される見通し。

 この細菌は、細菌の仲間のうち「アルマティモナス門」に属し、殿内教授らは論文で「カプスリモナス コルティカリス」と命名。新目「カプスリモナス目」の創設を提案している。

 細菌は2016年、中国からの留学生で岩手大学大学院生だった李娟(りけん)さんが、弘大の白神自然観察園(西目屋村)にあるブナの樹皮から採取した。遺伝子を解析し、培養して乾燥耐性や温度変化への反応などを調べた。

 その結果、この細菌は、ブドウ糖などで構成された非常に厚い粘質層に包まれ、保湿性が高く乾燥に強い性質であることが分かった。既に知られているアルマティモナス門細菌とは進化の特徴に違いがあることも判明した。

 殿内教授は特徴的な粘質層に着目し、同学部の吉田孝教授と共同で、化粧品素材などへの応用可能性について研究を進めている。

 「これまでも新種のバクテリア(細菌)を見つけることはあったが、目という上位の階級を創設できることはすごい」と喜ぶ殿内教授。アルマティモナス門の細菌は樹皮などさまざまな場所にいるものの、研究はまだ進んでいないという。

 「白神山地にはまだ、世に知られていない生物がたくさんいる。一端を明らかにできた点でも意義がある」と語った。