カネミ油症50年 救済の差 浮き彫り 台湾では2世も対象

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 カネミ油症事件発覚から11年後の1979年、台湾では同様の事件が表面化した。日台両国の油症被害者が意見交換した分科会では、救済制度を国が整えてきた台湾と日本との取り組みの差が浮き彫りになった。

 台湾油症は、台中の油脂工場の米ぬか油にポリ塩化ビフェニール(PCB)が混入し発生。視覚障害の子どもらが学ぶ恵明学校をはじめ市民ら2千人以上が被害を受けた。原因企業は倒産。国は患者登録制度を設け、疫学調査も実施した。その後、油症2世は実母が油症1世である者と定義され、救済対象となった。

 被害者らでつくる台湾油症受害者支持協会の事務局長、廖脱如(リャオトゥオル)さん(62)は国、地方自治体それぞれに1世、2世を対象にした死亡慰謝料や妊婦栄養補助金など救済策がある点を報告。同協会が実施する被害者向けの各種活動は、取り組みごとに助成金を国に申請できるという。

 長崎本土地区油症被害者の会代表の下田順子さん(57)は、日本より進んだ台湾の制度に「衝撃を受けた」と感想。日本では2世救済の枠組みがなく、未認定被害者も厳しい診断基準に救済を阻まれている。下田さんは「台湾政府は被害者を救おうとしているが、日本はどうか」と訴えた。

 会場の坂口力元厚労相は「被害者が一番してほしいことは何ですか」と質問。カネミ油症被害者五島市の会の宿輪敏子さん(57)は認定制度の見直しを挙げ「被害者は認定されなければ油症を治そうという気力さえ湧かない」と語った。

台湾と日本の救済の格差について語る下田さん