「正常、異常って何ですか」 海老名市議の差別的ツイッターに同性愛者

 「同性愛者は異常」など、同性愛に対して差別的な発言が問題となった海老名市の鶴指眞澄市議のツイッター上の投稿。自身も同性愛者で、性的少数者を支援する活動をする大和市出身のタレント、牧村朝子さんに一連の騒動に対する見解を聞いた。

 −投稿内容をどう受け止めたか 私としては、「同性愛は異常」という発言は、今までずっと聞いてきたことで、「またか」という感じ。ただ、投稿を受けて心を痛める人のことは心配。ツイートは、私には自分を守る発言に見える。他人を「異常」と思えば、自分を「正常」と思える。同性愛うんぬんの話ではなく、自分が強くなるために言ったのではないか。

 −公職者の発言だが 市議も人間。お酒を飲んでカッとすることもあると思う。単純に「お酒を飲んでものを言うのはやめよう」と思う。「議員辞職をしろ」とは全然思わない。本人に「どうしてそう思うか」「正常、異常って何なのか」と聞きたい。

 −市議は発言を撤回した 火消しのためか、本当に反省したのかは分からない。ツイッターが炎上したことで、自分がどういうことを言ったのか分かったのではないか。撤回した内容を読む限りでは、丸く収まりつつあるのかな、と思う。

 −インターネット上では投稿に対する批判が相次いだ 数十年前なら、これほど話題にならなかったと思う。「同性愛=異常」というのが当たり前だったから。東京都渋谷区のパートナーシップ証明書など、同性愛の問題が社会の注目を集めているのが影響していると思う。

 今回の件は、同性愛に反対する人、寛容な人、お互いが恐怖感を覚えたと思う。反対派は、発言が炎上したことで、「同性愛を異常と思う自分は、差別主義者と思われる」という恐怖を覚える。

 同性愛に寛容な人は「市議会議員が発言するくらい『同性愛は異常』は普通のことなのだ」と思ってしまう。どちら側も怖い思いをしている。まずは、いったん冷静になって「正常とは何か」「異常とは何か」を自分自身で考えてほしい。

 まきむら・あさこ 1987年大和市生まれ。タレント・文筆家。2012年にレズビアンであることを公表。多様な性のあり方をテーマにブログなどで執筆活動を続ける。13年、フランス人女性とフランスで同性婚した。

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