【日鋼室蘭の「瑞泉鍛刀所」】100周年記念、21日から3日間一般公開 作刀風景の見学、鞴祭で当主交代式で5代目に佐々木刀匠

 

日本製鋼所室蘭製作所(所長・岩本隆志取締役執行役員)は、構内の瑞泉鍛刀所が今年100周年の節目を迎えたことから11月21~23日の3日間、単独では初となる一般公開を行う。また、過日行われた第101回鞴(ふいご)祭で当主交代式が行われ、5代目当主に佐々木胤成刀匠(46歳)が就いた。

 瑞泉鍛刀所は1918年(大正7年)、近代化により衰退していた日本刀製作技術の保存と向上を願って同所内に建設。以来、堀井家により作刀技術が代々守り継がれてきた。また、同所では得意とする鍛鋼製品と日本刀は大きさこそ異なるが、同じ鍛鋼品として基本的な製作工程が変わらないことから、瑞泉鍛刀所をものづくりや技術技能伝承の原点と位置付けている。

 100周年記念の一般公開では、従業員やその家族をはじめ一般市民も対象に実施。期間中、鍛刀所では作刀風景を公開するほか、併設する資料館で鍛刀所の歴史や作刀方法・刀剣種類などを紹介。別棟での歴代刀匠の作品紹介なども行われる。公開受付は午前10時から午後2時まで、事前申し込みは不要。

 一方、先日行われた第101回鞴祭では、岩本所長ら同所幹部や労働組合関係者、4代目刀匠の堀井胤匡刀匠(64歳)と佐々木胤成刀匠(46歳)が出席し、日本刀づくりに使う送風装置の鞴をはじめとした鍛冶道具に感謝を捧げ、技能向上を誓った。

 神事に続いて堀井刀匠が祭壇に向かって報告文を奏上し、「この1年間で357組3124人が見学に訪れた。また、太刀2口と刀1口、脇差3口、短刀2口を作刀。これからも日本刀製作の技能技術向上に努めたい」と述べた。

 続いて、岩本所長立ち会いの下で当主交代式が行われ、伝達文と当主の証である烏帽子が堀井刀匠から佐々木刀匠に手渡された。

 佐々木刀匠は「伝統ある日本製鋼所瑞泉鍛刀所と歴代当主の名に恥じぬよう、今後も日本刀製作技術のさらなる向上と伝承に精進することを誓う」と決意を述べた。また、岩本所長は「堀井刀匠が瑞泉鍛刀所の当主として伝統を守ってきたことにあらためて敬意と感謝を申し上げたい。佐々木刀匠には堀井家の伝統を末永く守っていただくことを期待。瑞泉鍛刀所100年を迎え新しい当主が誕生したが、室蘭製作所も新生へ向けて前進している。ともにますますの発展を祈念したい」と語った。

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