No1は今季不振の左腕、他を圧倒する断トツの数字 奪三振率ランキング【パ編】

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楽天・松井裕樹【写真:荒川祐史】

クローザーから中継ぎ、先発と不振に陥った楽天・松井がトップ

 K9という指標がある。日本では奪三振率と言われる。奪三振数を投球回数で割って9をかけたものだ。その投手が9回を投げれば何個の三振を奪うかという数字。三振は、振り逃げ以外の出塁が考えられず、投手にとって最も安全なリザルトとされる。今季両リーグのK9のランキングを見ていこう。

パ・リーグ 50イニング以上を投げた51人のK9ランキング。上位15傑。

1松井裕樹(楽) 12.29(53試 66.2回 91奪三振)
2千賀滉大(ソ) 10.40(22試 141回 163奪三振)
3増井浩俊(オ) 9.55(63試 65回 69奪三振)
4則本昂大(楽) 9.33(27試 180.1回 187奪三振)
5平井克典(西) 9.17(64試 53回 54奪三振)
6田嶋大樹(オ) 9.04(12試 68.2回 69奪三振)
7岸孝之(楽) 9.00(23試 159回 159奪三振)
8森唯斗(ソ) 8.95(66試 61.1回 61奪三振)
9近藤大亮(オ) 8.67(52試 54回 52奪三振)
9公文克彦(日) 8.67(57試 54回 52奪三振)
11益田直也(ロ) 8.53(70試 64.1回 61奪三振)
12吉田一将(オ) 8.47(58試 56.1回 53奪三振)
13菊池雄星(西) 8.41(23試 163.2回 153奪三振)
14内竜也(ロ) 8.284(58試 58.2回 54奪三振)
15バンデンハーク(ソ) 8.283(23試 138回 127奪三振)

 今季の楽天、松井は不振に陥りクローザーから配置転換になって中継ぎとして投げた。終盤には先発でも投げたが、K9は断トツ1位の12.29。桐光学園高時代10連続奪三振と1試合22奪三振という破天荒な甲子園記録を作った左腕の威力は健在だ。

楽天の岸は移籍後に奪三振率が急上昇

 続いてソフトバンク・千賀。さらに日ハムからオリックスに移籍してクローザーとして活躍した増井が続く。規定投球回数以上では、奪三振王になった楽天・則本が1位だ。則本の同僚の岸は、西武時代のK9は7.36(1521回1243奪三振)だったが、楽天移籍後は9.34(335.1回348奪三振)と急上昇し投球スタイルが大きく変化している。

 投球回数より多くの三振を奪う投手を、一般的にパワーピッチャーという。K9でいえば9.0以上だ。今季のパ・リーグでは7人いた。そのうち3人が楽天勢だった。

K9が低い5人も見ておこう。

47石川歩(ロ) 5.20(21試 133.1回 77奪三振)
48マルティネス(日) 5.18(25試 161.2回 93奪三振)
49美馬学(楽) 4.67(14試 79回 41奪三振)
50有吉優樹(ロ) 4.58(29試 106回 54奪三振)
51ローチ(オ) 3.40(11試 50.1回 19奪三振)

 K9が低い投手には、不振で三振が奪えなかった投手もいるが、もともと打たせて取る技巧派だった投手もいる。K9が低いから能力が低いとは言い切れないのだ。奪三振を狙わず打たせて取る投手は、投球数が少なくなる傾向にあり、効率の良い投球ができる。ロッテ・石川はその典型。通算のK9も6.04と低いが、プロ入り5年で48勝を挙げている。

 日本ハムのマルティネスは1年目で10勝を挙げたが、K9は5点台。この投手も技巧派だと言えるだろう。
対照的に同じく1年目のオリックス・ローチは主として先発で投げ、2勝3敗、防御率5.01に終わった。この投手はNPBの打者に対応できず、K9が低かったとみなすべきだろう。

 K9はMLBでは重要視される指標だが、この数字だけで投手の能力を判断するのは難しい。他の数字も参照する必要があるのだ。(広尾晃 / Koh Hiroo)