英国高級車メーカー「アルヴィス」日本市場導入発表会 | 時空を越えて“クラシックカー”が日本にやってきた

アルヴィス 4.3リッター ヴァンデン・プラス・ツアラー(1937年型)

知る人ぞ知る高級車メーカー「アルヴィス」とは

この記事に掲載されている写真は、クラシックカー展示イベントの様子ではない。なんと、これから新たに日本へ導入される“ニューモデル”の発表会の模様である。

2018年11月16日、明治産業株式会社(以下、明治産業)は、イギリスの高級車メーカー「アルヴィス」の車両を日本へ導入することを発表し、同日に駐日英国大使館で記者発表会を行った。

アルヴィスは、1919年創業の歴史ある自動車メーカー。1925年にル・マン24時間レースで1-2フィニッシュを飾ったほか、1933年に世界初のオールシンクロメッシュギアボックスを開発するなど、高い技術力に定評のあるメーカーの1つだった。1967年に量産車製造を終了した後は既存オーナー向けの部品供給・修復のみを行っていたが、過去に生産していたモデルの自動車製造を2010年に再開。そして、今回の日本導入が実現した。

◆え、エンジンルームそうやって開くの!? 今では見ないボンネットの開き方を見る

それは、まるで映画のスクリーンから飛び出したかのよう

アルヴィス 4.3リッター ヴァンデン・プラス・ツアラー(1937年型)
アルヴィス TE21 サルーン・バイ・パーク・フォード(1965年型)

▲写真左:4.3リッター ヴァンデン・プラス・ツアラー / 写真右:TE21 サルーン・バイ・パーク・フォード

今回メディアに公開された車両は「4.3リッター ヴァンデン・プラス・ツアラー」と「TE21 サルーン・バイ・パーク・フォード」。このうち、前者のモデルが生産され、今後日本に導入される。

日本での総ラインナップは、4.3リッターエンジンを搭載した「4.3リッター ヴァンデン・プラス・ツアラー」を含む3仕様と、3リッターエンジンを搭載した3仕様の、計6仕様となる予定だ。ただし、6仕様の中からベースを選ぶことになるものの、購入者は車両の隅々に至るまで自分の好みの装備・素材を選択することができるため、実際には1台ずつ異なるものになるという。

なおTE21 サルーン・バイ・パーク・フォードに関しては、今後も生産されない予定。

4.3リッター ヴァンデン・プラス・ツアラー:外装

アルヴィス 4.3リッター ヴァンデン・プラス・ツアラー(1937年型)
アルヴィス 4.3リッター ヴァンデン・プラス・ツアラー(1937年型)
アルヴィス 4.3リッター ヴァンデン・プラス・ツアラー(1937年型)

ボディ全体のデザインは、近年発売された“ニューモデル”ではまず見られないシルエットだ。博物館やイギリス映画のスクリーンでしか見ないようなモデルを、「新車として購入できる」というだけでとてつもない非日常感が押し寄せる。クラシカルなヘッドライトの横には、ボンネットに迫る高さまで盛り上がったフロントフェンダーが取り付けられている、まさに“クラシックカー”然としたスタイリングだ。横から開くボンネットも、今では見られないタイプだ。エンジンは直列6気筒4.3リッターエンジンが搭載されている。

リアは、なだらかに下がっていくシルエットの上に幌とスペアタイヤカバーが装着されており、強い優雅さが感じられるもの。映画のような生活を送りたいという願望も、4.3リッター ヴァンデン・プラス・ツアラーならドライブ中は“物語の主人公”になれる。

4.3リッター ヴァンデン・プラス・ツアラー:内装

アルヴィス 4.3リッター ヴァンデン・プラス・ツアラー(1937年型)
アルヴィス 4.3リッター ヴァンデン・プラス・ツアラー(1937年型)
アルヴィス 4.3リッター ヴァンデン・プラス・ツアラー(1937年型)

内装は、インストルメントパネル全体にメーターが配置されている独特なレイアウト。フロアからニュッと生えているシフトレバーが、何とも愛らしく感じられる。ドアの縁が低いこともあり、ドライバーは車と一体となったドライビングを楽しめることだろう。

アルヴィスブランド日本導入にあたっての意気込み

明治産業株式会社 取締役社長 竹内 眞哉
The Alvis Car Company 英国本社 社長 アラン・ストート

▲写真左:明治産業 取締役社長 竹内 眞哉氏 / 写真右:アルヴィス・カー・カンパニー 会長 アラン・ストート氏

今回、明治産業がアルヴィス車の輸入を行う。開始することになった背景として、同社取締役社長の竹内 眞哉氏はかつて同社がアルヴィス車の輸入を行っていたことを挙げた。これに対し、アルヴィス・カー・カンパニー 会長のアラン・ストート氏は「古い友人と再開したようだ」とコメント。両社の良好なパートナーシップをアピールした。

会見では、竹内氏がイギリス現地でアルヴィス車を試乗した際のエピソードも披露。「昔の車とは思えない加速の良さが印象的だった。また、エンジン音は今の車と明らかに違う。とてもワクワクした」と感想を語った。

現在、明治産業は自動車部品の商社として知られる存在であるが、竹内氏は「自動車の販売は久しぶり」と語る。販売目標については「何台売れるのか、我々にもわからない。当面は年間1台を目標とする」とした。2018年12月には、東京都港区にショールームが開業する予定となっている。

「アルヴィス車なら“タイムトラベラー”になれる」

アルヴィス 4.3リッター ヴァンデン・プラス・ツアラー(1937年型)

現在販売が予定されている6モデルのうち、最安モデルは28万ポンド。1ポンド145円時、日本円で約3,500万円となっている。今回写真で紹介した4.3リッター ヴァンデン・プラス・ツアラーは、約5125万円(41万ポンド)となっている。※いずれもイギリス渡しの参考価格

魅力を感じるかどうかは各々の感性によるが、数千万円で“新車のクラシックカー”を買えるという事実は揺るがない。

アルヴィス社会長のアラン・ストート氏は、同社の車に乗る事の本質を「“タイムトラベラー”になること」だと語った。明治産業によると、日本での納車開始は最速で2019年6月を予定している。来年夏頃には、日本でも“タイムトラベラー”がアルヴィス車でのドライブを楽しんでいるに違いない。

[筆者/撮影:オートックワン編集部]

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