青い鳥そこかしこ(中) 木工職人の技次々 オブジェ制作没頭【80歳ナゴマサー 列島歩き】

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 木の香りに吸い込まれるように薄暗い建物の前に立ち止まる。中に一人の男性がいた。ボサボサの髪には1日のおがくずが積もっている。痩せ型だが強そうで、黒っぽい作業服が個性を放っていた。手には削りかけの木端があった。引き込まれてその男性に話し掛けた。その人は木工職人の齋藤巧さん。木、道具、技について熱く語る。こちらの問いにも丁寧に答えてくれ、さらにカンナで削られ薄くなった帯状の木を大きな袋から取り出し「まだまだだ」と言った。

 日本伝統の木工建築の技を次々見せてくれた。何本も硬く組み合わされた角材の1カ所をつちで打つと組まれた木がバラバラになる、手品のような仕組みに見とれた。齋藤さんの笑顔がさらに輝いて見えた。

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 甲子園から神戸にぬける。

 国道2号線沿いの芦屋市楠町の通りにひときわ目を引くショーウインドーがあった。静かにペンを握る姿の男性が見えた。今須智哉さん(48)だ。ステンドグラスの下絵に没頭していた。「二つの立体を合わせて一つの作品にするのは新しい試みだ」と仕事の手を止めて優しく言った。

 花模様を美しい曲線で描いた照明器具やオブジェに囲まれる中で制作をしていた。今須さんは、デザイン専門学校に通っていたがステンドグラスにひかれて学校を中退、2003年から制作に打ち込む。

 東京都新宿の小田急百貨店での06年の個展を皮切りに、箱根ガラスの森美術館や阪急梅田美術画廊などで作品発表を重ねている。アトリエの棚には数々の色や質の違うガラスが整然と並び、記号と番号が施されている。下絵にガラスの番号を書き入れていた。

 綿密な仕事を何日も邪念なく無心でいられる方だ。

 10月27日 熊本県阿蘇市

 (比嘉良治、ニューヨーク通信員)

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 米ニューヨークに在住する芸術家で名護市出身の比嘉良治さんが80歳を迎え、東京都の日本橋から沖縄までの歩き旅をスタートさせました。列島歩きを通して出会う人や風景、出来事をつづります。