【ゴーン会長逮捕】内部調査で検察に情報 日産社長「重大な不正」

 日産自動車(横浜市西区)のカルロス・ゴーン代表取締役会長(64)が東京地検特捜部に金融商品取引法違反の疑いで逮捕された問題で同社は19日夜、記者会見し、数カ月間にわたりゴーン容疑者について内部調査した上で東京地検に情報提供していたことを明らかにした。

 記者会見に立った西川広人社長は「断じて容認できる内容ではない。専門家からの判断も受けた上で『重大な不正行為』と判断した」と強調。「株主や取引先、関係者の方々に大変な心配をお掛けすることになりおわび申し上げる」と謝罪し、抜本的に改善することを表明した。

 また西川社長は、社内調査で明らかになった不正は大きく分けて三つあったと指摘した。一つ目は長年にわたり実際の報酬額よりも減額した金額を有価証券報告書に記載していた点。二つ目は目的を偽って私的に日産の投資資金を支出していた。三つ目は私的な目的で経費を不正使用していたという。

 ゴーン容疑者の報酬を巡っては高額であることが再三疑問視されていた。日産から開示されていた報酬は15年3月期から17年3月期まで連続で10億円を超え、直近の18年3月期も7億3500万円に上っていた。

 これに加え2011年から5年間で合計約50億円を過小に記載した疑いがあるという。

 西川社長は「残念という気持ちより、憤りと落胆を感じている」と語った。その上でゴーン容疑者が長期間にわたりトップに立ち続けたことを「負の側面」と糾弾した。「ただ、これまで日産が積み上げてきた素晴らしいものもある。将来に向けて受け継ぐべきものと、ゴーン統治に基づく弊害とを明らかにした上で、時間を空けずに目に見える形で問題を解消していきたい」と話した。

会見する西川広人社長=19日午後10時5分、横浜市西区の日産グローバル本社

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