2019統一地方選 「自民・県民会議」所属 無所属4人が推薦要請 県連内は難色示す声が根強く

 来春の長崎県議選、長崎市長選を巡り、長崎県議会最大会派「自民・県民会議」(20人)に所属する無所属4人が10月、自身の推薦を求める文書を自民県連に連名で提出し、内部で議論を呼んでいる。4人は「一緒に県政を推進している」「一心同体」などと最大会派維持への貢献を強調するが、党籍がないことなどを理由に難色を示す声が根強い。県連は年内をめどに正式に結論を出す方針だが、現状では推薦は厳しいとみられ、会派運営への影響を懸念する声も聞かれる。

 「党籍がなく、難しいだろう」。4日、長崎市内であった常任総務会後、自身も「自民・県民会議」に所属する中島廣義幹事長は、こう見解を述べた。

 4人は、県議選に立候補を予定している小林克敏=大村市区=、中山功=長崎市区=、大久保潔重=諫早市区=の各県議と、長崎市長選への出馬を表明している高比良元県議=長崎市区=。

 難色の声が上がる背景には、4人を巡る複雑な経緯がある。2011年の県議改選後、党運営への考えの違いから、県議会自民会派が三つに分裂。自民県議だった小林氏と中山氏は民主(当時)や社民でつくる会派「改革21」と“連立”を組み、自民県連はこれを“反党行為”とみなして2人を除名した。高比良氏も当時は非自民の「改革21」に所属。15年の県議選で県政に復帰した大久保氏も、過去には民主公認として参院選に出馬し、自民候補を破って国政に進出したいきさつがある。

 状況が変わったのは17年7月のことだ。県議会で過半数を占めていた自民県議26人が、県連幹事長と県議会議長人事で紛糾、対立。分派した自民2会派が主導権争いを繰り広げる中、一方が小林氏ら4人を迎え入れ「自民・県民会議」を結成、最大会派を維持している。

 離合集散劇後、4人が自民側に推薦を求めるのは今回が初めて。本来、推薦は支部を介するのが前提条件だが、4人は党籍がないため、県連に直接求めた格好だ。

 連名の文書提出について、小林氏は「党員でなくても一緒に県政を推進している。単純な無所属ではなく、推薦は考えられないことではない」と主張。大久保氏も「(最大会派の自民議員とは)同じ屋根の下で同居している」と親和性を強調するが、「会派と党派は全く違う」(中村和弥政調会長)。4人のこれまでの経歴を踏まえ、自民県議の中には抵抗感も強い。「党員の理解は得られないだろう」「推薦が欲しければ、党への貢献を示すべきでは」。冷ややかな声は、勢力争いをするもう一つの会派「自民」(13人)だけでなく、身内の「自民・県民会議」からも漏れ聞こえる。

 一方で、党内からは「推薦しなければ会派内にあつれきが生じかねない」との懸念の声も。「自民・県民会議」所属の西川克己総務会長は「(不協和音が生じないよう)最終的には軟着陸したい」と苦悩の色をにじませた。

推薦を巡り、無所属県議と意見に隔たりがある自民県連=長崎市江戸町

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