【米国の露ルサール制裁 日本国内での対応進む】軽圧メーカー、地金調達先を多様化

商社は取引再開に慎重姿勢

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 米国の制裁対象となっているロシアのアルミ製錬大手UCルサール製品の取り扱いをめぐって、国内のアルミ圧延メーカー(軽圧メーカー)は目先の原料調達にめどをつけている。米国企業などとの取引停止実施は来年1月7日まで先延ばしとなっているが、来年契約分のアルミ地金は調達先を多様化することで対応。すでにルサール以外の代替供給先の確保にめどをつけており、来年以降も安定操業できる体制を整えている。

 ルサールはロシア・プーチン大統領とつながりを持つオルガルヒ(寡占資本家)の関係企業として4月6日に米国の追加制裁対象に指定された。これによりドル建て商いの停止や米国企業との取引停止だけでなく、ルサールと取引した企業も米国の制裁対象になる可能性が示されたことで、日本の圧延メーカーもルサールとの取引の見直しが不可避となっていた。

 ルサールと取引のある圧延大手は4月以降、制裁の動向を眺めながらもリスク回避に向けて、代替調達先の選定を本格化。ルサールの米国取引に関するジェネラル・ライセンスの期限は、当初予定の6月5日から来年1月7日に延期されるなど本格的な制裁実施は先送りされているが、UACJの石原美幸社長は「制裁時期が不明確な状況の中で、必要量についてはすでに確保している。また供給源の多様化ということで、新規取引先の新地金をテストしている」と説明。

 さらに「現在のところ来年は、ルサールからの調達は基本的にゼロで考えており、その他の供給源からの調達で賄うことができている」と話した。

 日本軽金属の高橋晴彦執行役員も「我々はルサールからの調達量がそれほど多くないということもあり、3月の時点で調達ソースは切り替えている。いまはルサールを除いたベースでの調達ができている」としており、アルミ圧延大手はすでに対応を終えている格好だ。

 これまでルサールと取引を続けてきた国内の大手商社でも、同社との取引再開には慎重姿勢を固めている。契約済みの地金に対しては「手仕舞い期間」として調達が可能だが、その後のめどは立っていない。 

 4月の制裁以後、複数の商社はルサールに対して日本向けのアルミ地金の納入を中止するよう要請。ある商社の担当者は「制裁が解除されない以上、銀行の送金も停止され決済手段がない」と話す。さらに、二次制裁リスクの不安視する声も多い。「当社はアルミに限らず米国でさまざまな取引を行っており、現地法人もある。米国から『制裁対象と取引している会社』と目を付けられるリスクはできる限り避けたい」(同)。

 一方、制裁が解除された際にはメーカーよりも柔軟に対応できる可能性はある。スラブやビレッドなどの製品調達をメインとする圧延メーカーと異なり、商社では新塊が主力。契約形態についてもメーカーの大半が年間契約を採用する一方、商社では四半期やスポット随意契約など各ポジションによって多岐にわたるためだ。

 前述の担当者は「もちろん、制裁解除後に銀行が即座に決済再開を許可してくれるのか、という点に不安はある。調達の再開時期には慎重な見極めが必要だろう」と指摘する。

 原料の安定確保が求められる中、サプライソースの分散に向けた動きが加速する可能性もある。ルサール産塊の代替として有力なのは米国からの関税を免除されている豪州、新規拡張プロジェクトの旺盛な中東、インドなどだ。すでに豪州からの引き合いは急増傾向にあるが、足元ではサウジアラビアでのジャーナリスト殺害事件を受けた米国の動向をめぐり、対サウジとのアルミ地金取引に対して先行きを不安視する声も寄せられる。

 今後、国内需要家は各国の潜在リスクを見極めながら、厳しい状況判断を迫られそうだ。