若手飛躍の“虎の穴”になるか? 楽天ファーム施設が遂げる数々の進化

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6月にはトレーニングルームが新設された楽天2軍ファーム施設【写真:(C)PLM】

ファームの非公式戦を増加し、多くの選手に実戦機会を提供

 今季の楽天はシーズン序盤でつまずいたが、若い選手が一定の出場機会を得たのは来季以降への収穫だ。新人王候補の田中和基を筆頭に、将来の戦力となりそうな若手が台頭した。そういった若手が日々研鑽を積んだのが、2軍の本拠地・ウェルファムフーズ森林どりスタジアム泉である。

 ファームシステムの充実が、チームの将来へ向けた布石となることは言うまでもない。1軍の本拠地が数多くの話題を提供する楽天もそれは例外ではなく、2軍の運営にも工夫を凝らしながら、選手の環境へ投資することで、遠くない未来でのリターンを図っている。

 今季、東北楽天に所属した選手は81人。球団創設1年目の2005年が69人で、以降も70人ほどのまま推移してきたが、2015年からは80人前後まで増えた。1軍は28人を出場選手登録(ベンチ入りは25人登録)できるが、今季の東北楽天であれば、50人ほどがファームで暮らすことになる。

 試合数が少ない2軍にも1軍が近いレギュラーがおり、さらに1軍の主力級が調整で合流すれば、全員が満足して出場するのは難しい。そのため東北楽天はファームの非公式戦を増やしている。今季は巨人やソフトバンクなどの3軍やアマチュアとも35試合を戦った。今後も選手育成の場には、様々なアイデアが検討されているようだ。

 同球場はもともと、2006年から練習場として使用されていた施設だったが、2016年から2軍の試合を開催。過去2年は約20試合ほどだったが、今季は52試合と大幅に増やした。これに伴い、座席も拡充され、現在は高さ5メートルほどのスタンド席があり、グラウンド全体を望むことができる。

「見られている意識があることで選手の行動が変わる」と語るのは、投手として広島に4年間在籍し、現在は楽天野球団の広報を務める伊東昂大氏だ。客席だけではなく、ファンの動線からは室内練習場やブルペンの様子も見学可能で、目の前を選手が歩く。まだ発展途上にある球場だけに、ファームの魅力を語る際に良く枕詞となる「ファンと選手の距離が近い」が、より強く実感できる。

 今年6月には、トレーニングルームも新設された。最新のウエート器具が揃えられたことで、寮に住む選手や2軍でプレーする選手だけではなく、1軍の選手がわざわざ訪れることもあるという。チーム統括本部育成部の水野芳樹氏は「天井も高くて広いトレーニングルームに改修されたことで、選手からも『モチベーションが上がる』『トレーニングに行きたくなる』という声も聞かれます」と語る。

 今オフ、楽天は正式に監督に就任した平石洋介新監督のもとで指導するコーチ陣を固め、ドラフトでは新たに10人の新戦力を迎え入れた。この地から、来季はどのような戦力が羽ばたくだろうか。(「パ・リーグ インサイト」藤原彬)

(記事提供:パ・リーグ インサイト)