【世界から】ダルビッシュが現役メジャー1位! それは何?

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ファンにサインするカブスのダルビッシュ=サンディエゴ(共同)

 米大リーグ、シカゴ・カブスのダルビッシュ有投手が、並み居る現役メジャーリーガーを差し置いて、1位を獲得した―。先日、そんなニュースが流れた。ご存じの通り、今年32歳のダルビッシュは日米を通じたキャリアで素晴らしい結果を残している。だが、今シーズンは右肘の故障で活躍できなかった。彼はどの部門で1位になったのだろうか。

▼フォロワー数

 10月24日付のニューヨーク・タイムズ電子版は、メジャーリーガーの人気が他種目の選手と比べて相対的に低いと伝えていた。しかし、他の野球選手が苦戦するなかで、ダルビッシュは、ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)のフォロワー数が現役トップなのだという。この調査を行ったのは「オープン・スポンサーシップ社」。アスリートを宣伝広告に起用したい企業を支援している企業だ。

 ダルビッシュは、短文投稿サイトのツイッターに約199万、画像投稿サイトのインスタグラムに約33万のフォロワーがそれぞれいる。ちなみに、引退選手なども含んだ「メジャーリーグ部門」となると、ダルビッシュは2位。トップに立ったのは、2016年に引退したデービッド・オルティスだ。ボストン・レッドソックス時代の06年には打点とホームランの2冠に輝くなどの活躍を見せ、通算では2452安打、541本塁打を記録したスーパースターにはツイッターに約155万人、インスタグラムに約180万人で計335万人のフォロワーがいる。

▼結びつき

 ダルビッシュが多くのフォロワーを獲得できるのは、国の枠を超えてファンがいるからだろう。オルティスも米国に加えて母国ドミニカ共和国にも多くのファンがいる。グローバルなスターは地理的な制約を受けないインターネットとの相性が良い。

 しかも、ダルビッシュはSNSの使い方がうまい。自分の意見をはっきり述べ、ファンにとって興味がある自身の日常生活をうかがわせてくれる。加えて、ファンが知りたい野球の知識について、気さくにやりとりしてくれる。

 筆者は、メジャーリーグのシンシナティ・レッズで公式ツイッターを担当している人にSNS運用のコツを聞いたことがある。その担当者によると「大事なのは、『ファン・エンゲージメント』」だと言う。エンゲージメントを日本語で表現すると「愛着心」や「結びつき」などといったところだろう。ダルビッシュは、ピッチングだけでなく、自らの投稿を通じてもファンと結びついているのだ。

▼使い方教育

 しかし、SNSは常に良い目的で用いられるわけではない。

 今年7月には、メジャーリーグ、ミルウォーキー・ブルワーズの若手投手で今年オールスターにも出場したジョシュ・ヘイダーが高校時代に人種差別や同性愛者差別を含む投稿をツイッターにしていたことが明らかになった。現在24歳のヘイダーは7年前となるこれらの投稿を謝罪。メジャーリーグ機構から更生プログラムを受けるよう求められた。

 米国では、高校生や大学生のアスリートを対象に、SNSの使い方に関する教育を始めている。彼らにとってインターネット空間は、不特定多数に自身の活動などをアピールできる場だ。とはいえ、差別的な内容を投稿するのはやはり許されることではない。また、競技人生に影響することもある。プロや大学のスカウトたちは投稿をこまめにチェックしており、思慮に欠ける投稿をした選手に対して契約を申し出ることを避けることもあり得るのだ。そうなると、大学入学やプロ入りは当然、難しくなる。

 「何」を「どこまで」投稿してよいか、について詳細なルールを定めている運動部もある。一例を挙げると、チーム内や対戦相手校とのやりとりでトラブルにならぬように、インターネット上でもスポーツマンシップとフェアプレーの精神をもって振る舞うように―などだ。もちろんだが、教える側も常にアップデートを求められている。インターネットに馴染みのない人が少なくない中高年の指導者にとって、デジタル世代の若いアスリートに追いつくのは、骨の折れる作業のようだ。(米ミシガン州在住ジャーナリスト、谷口輝世子=共同通信特約)

デービッド・オルティスの垂れ幕がかかったボストンのフェンウェイパーク。垂れ幕に書かれている「34」はオルティスの背番号だ=2016年10月、谷口輝世子撮影
子どもたちにSNSの使い方を示す掲示物=米国ミシガン州ファーミントンヒルズ市、谷口輝世子撮影