銀河というエサを食らう巨大な鳥頭「NGC 6745」

銀河の衝突によって形を大きく変えたこの銀河は、地球からこと座の方向に約2億光年先にある「NGC 6745( IRAS 19000+4040, )」の異様な姿です。

元々は渦巻銀河であったと思われる「NGC 6745」は、右下に僅かに見える小さな銀河が衝突し、通過したことにより渦巻きの形が大きく歪んでいます。相互作用がありますが、銀河の核がそのまま残っていること、2つの銀河に距離があることから、正面衝突したものではないと考えられています。

また「NGC 6745」は「鳥が頭を傾けてエサを食べようとしている」と例えられていることでも有名。銀河の中心を目と考え、右下側の白い箇所がクチバシ。頭の天辺に向かって白い羽が生えている、そして右下の小さな銀河をエサに例えています。
クチバシから頭にかけて見られる明るく白い部分は銀河の衝突の影響により星間物質の密度が高まり生まれた星形成の場。沢山の若い星々が生まれ、明るく輝いていることが分かります。

画像から把握することはできませんが、右下の小さい銀河の殆どは大きな銀河の方に多くの星間物質を持っていかれた可能性があり、「エサ」の例えがしっくりきますね。

この画像は、ハッブル宇宙望遠鏡の広域惑星カメラ「WFPC2」の光学U/V・赤外Iで撮影され、2000年11月に公開されました。

Image Credit:Roger Lynds (KPNO/NOAO), NASA/ESA and The Hubble Heritage Team (STScI/AURA).
■Galaxy collision in NGC 6745
https://www.spacetelescope.org/images/opo0034a/

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