婚姻届、独自デザイン 地域色豊か、魅力発信

県内14市町村

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記念撮影用ボードの前で、オリジナル婚姻届(左)と結婚記念証を手にする稲敷市職員=2日、市役所

カップルの新しい門出を祝おうと、県内の市町村でオリジナルデザインの婚姻届を作る動きが広まっている。名所や特産品を盛り込んで「らしさ」を演出。地元に愛着を持ってもらい、定住につなげたい考えも垣間見える。ただ、将来的には文書電子化に伴う規制が生じる公算が大きい。いい夫婦・夫妻の日(11月22、23日)を前に、市町村独自の婚姻届を巡る事情を取材した。

■役所で記念撮影
カボチャやイチジク、レンコンの絵柄がちりばめられ、ご当地キャラ「稲敷いなのすけ」がにっこり笑う。稲敷市が2017年4月から配布している婚姻届だ。記念にすることを重視して複写式を採用。提出用とは別に記念の1枚を手元に残せるのが特徴だ。

今年7月には、市役所内に記念撮影用のボードを設置し、新しい夫婦の名前と写真入りの結婚記念証もプレゼントしている。職員が2人の写真を撮って印刷し贈っている。

手厚いサービスの背景には、若年層の流出により人口減が続く現状がある。川村喜一・秘書広聴課長兼シティプロモーション推進室長は「お祝いはもちろん、婚姻届や記念証を通し、稲敷に関心を持ち続けてもらい、住み続けたり戻ってきたりしていただければ」と願う。

■自由な装飾
婚姻届は、民法739条や戸籍法74条に根拠があり、法務省令で定める記入事項や様式を満たせば、余白などの装飾は自由だ。どこの市区町村に出しても受け付ける。

デザイン性の高い婚姻届の先駆けは、結婚情報誌「ゼクシィ」が12年12月発売号で付録にした「ピンクの婚姻届」。文字や線をピンクにした意匠が人気を集めたという。近年は自治体と共同作成の「ご当地婚姻届」が好評を得ている。

茨城新聞の調べで、県内でオリジナルデザインの婚姻届を用意しているのは計14市町村。稲敷市のほか、水戸▽石岡▽取手▽牛久▽つくば▽鹿嶋▽潮来▽常陸大宮▽那珂▽神栖▽小美玉▽東海▽河内-が、単独かゼクシィと連携して作成している。ロボットやロケットをあしらい「科学の街」を強調するつくば市や、マスコットキャラ「みとちゃん」を登場させる水戸市など、いずれも地域色がうかがえるデザインだ。

市町村独自の婚姻届について、ゼクシィの平山彩子編集長は「地域や結婚の魅力発信につながるはず」と期待する。

■電子化で制限か
一方、絵柄の入った婚姻届は今後、規制されるとの観測も強い。背景にあるのは、政府が効率化を狙いに進めようとしている各種届けの電子化だ。政府は2019年の通常国会以降に戸籍法改正案を提出する予定だ。

法相の諮問機関・法制審議会(法制審)の戸籍法部会では、機械で読み取る際に絵が重なるなどして記入事項が読み込めなくなる可能性があるとして、一定の規制が必要との意見が出ている。規則や通達で制限し、様式についても見直す方向だ。

ただ、意見公募では、「(デザインは)支障のない範囲で許容すべき」との声も。一部容認か規制か、法制審での調査審議が続く。オリジナル婚姻届の作成を検討する県南地域の自治体担当者は「様子をうかがいながらの作業になる」と注視している。 (鈴木剛史)