極端な減量で心身に異変 万引常習化した経緯振り返る

元マラソン日本代表原さん

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職場で事務作業に取り組む原被告=10月下旬、千葉県内

 群馬県太田市内のスーパーで菓子を万引したとして窃盗の罪に問われ公判中の足利市出身、元マラソン日本代表原裕美子(はらゆみこ)被告(36)が20日までに、下野新聞社の取材に応じ、実業団入り後の減量をきっかけに過食と嘔吐(おうと)を繰り返す摂食障害を発症し、食品の万引が常習化した経緯を振り返った。加えて無月経や骨密度の低下など、極端な体重制限を契機に心身に異変が生じていたことを明かした。

 原被告は高校卒業後、実業団に入った。1日に何度も体重を量り、厳しく管理した。食事も満足に取れず、我慢できずに食べた際は深夜にサウナを使うなどして体重を落とした。

 吐くことを覚えたのは、入団1年目の12月。「好きな物を食べられるし体重も増えない」と1日3回、食べたら嘔吐を繰り返した。

 医療関係者によると、摂食障害と常習的な窃盗は併発しやすいとされる。原被告は「けがで結果が出ず、いら立ちを万引で解消したこともある。食べているときと盗んでいるときは、つらいことが忘れられた」と振り返る。

 原被告の行っていた体重制限について、順天堂大陸上競技部女子監督で同大スポーツ健康学部の鯉川(こいかわ)なつえ准教授は「体重ばかりを気にして食事を制限するのは間違いだ」と指摘する。

 鯉川准教授によると、トレーニングの質や量が上がったのに十分な食事をしなければ、体がエネルギー不足に陥る。その状態が続くと、無月経や骨粗しょう症の要因となる。原被告は疲労骨折を繰り返し、骨粗しょう症の薬をのんでいた。

 鯉川准教授は「長期的に高い競技力を保つためにも、しっかり食べてエネルギー不足を防がなければならない」と強調。「科学的に正しい知識を持った指導者を増やす必要もある」と話した。

 原被告は現在、さまざまな問題を抱えた人の社会復帰を支援する千葉県内の施設で暮らす。摂食障害などの治療をしながら、事務職の仕事も始めた。

 「テレビで(陸上の)大会を見ても、ガリガリで危ないと思う人がたくさんいる。自分の体を大切にしてほしいと伝えたい」と話した。前橋地裁太田支部で公判中の窃盗事件の判決は12月3日に言い渡される。