【建設用鋼材の副原料、バナジウム急騰】代替品のニオブ、存在感増す 価格安定、電炉メーカーに活用の動き

 鋼材の強度を高める効果があり、建設用鋼材などに幅広く使われているフェロバナジウムの価格急騰が続く中、バナジウムの代替品としてフェロニオブの存在感が一段と増してきた。フェロニオブは、世界市場の8割のシェアを持つブラジルCBMM社の政策もあって安定価格が続いている。バナジウムとの価格差は開く一方で、国内の電炉もニオブ活用に動き始めた。

 CBMMと同社の日本総代理店を務める双日が先週都内で開いた「鉄鋼向けフェロニオブセミナー」。電炉メーカーの製綱技術者、品質管理担当者、購買担当者ら約30人が詰めかけ、CBMMのプレゼンテーションに耳を傾けた。双日によると、これに先立ち開いた大阪でのセミナーと合わせ、国内の電炉メーカー17社が参加したという。

 普通鋼電炉メーカーの主力製品である小形棒鋼や形鋼には強度を高める添加副原料として一般的にバナジウムが使われている。ニオブも微量添加で同等の効果を出せるが、使い慣れたバナジウムからの転換に二の足を踏む電炉メーカーが多く、建設用鋼材ではこれまであまり使われてこなかった。

 ニオブに脚光が集まり始めたのは、フェロバナジウムの価格が急騰した9月以降。同価格は足元で130ドル(純分価格)を突破、8月の水準に比べ3・4倍に跳ね上がり、電炉メーカーのコストを直撃した。フェロニオブはこの間、40ドル(同)台で安定推移。足元の価格で計算すると、ニオブに代替した場合、製品1トン当たり1500~2千円のコスト削減が可能になる。

 CBMMによると、バナジウムの代替にニオブを使う場合、ビレットの再加熱温度などを変える必要があるものの、基本的にはプロセス変更は不要。新たな設備投資もいらない。セミナーでは、CBMMの技術者がニオブ活用による効果を最大化するためのノウハウを紹介した。

 CBMMの技術サポートを受けてニオブを試した普通鋼電炉メーカーでは、規格通りの品質を出せることを確認した。他の鋼種でもテストし本格採用を検討するという。

 CBMMと双日は、ニオブ使用時の操業条件などをやり取りすることを前提にサンプル供給に応じる方針。双日の担当者は「バナジウムの価格が今後どう推移するかは不透明だが、選択肢を広げるという意味でニオブを試してほしい」と話す。

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