富田製作所、出雲大社「勢溜(せいだまり)鳥居」製作に協力 新日鉄住金製コルテン鋼使用、高さ8.8メートル、横幅12メートル、総重量約10トン

 経年劣化によって建て替えられた出雲大社の「勢溜(せいだまり)の大鳥居」。この鳥居の製作に、重量製罐・大型精密板金・プレス造管業の富田製作所(本社・茨城県古河市丘里、社長・富田英雄氏)が携わった。

 新日鉄住金および日鉄住金物産からの依頼を受け、新日鉄住金製「耐候性鋼板」(コルテン鋼)を使用し、同社つくば工場で柱、笠木、貫(ぬき)を製作。高さ8・8メートル、横幅12メートル、総重量約10トンの鋼製鳥居の完成に協力した。

 最大加圧1万6千トンの大型プレスをはじめ古河、つくば両工場で大小あわせて十数台のプレス加工設備を保有。これまで多数の重量鋼構造物製作に携わっており、その技術力には定評がある。鳥居の製作についても、過去に西宮神社や大阪天満宮で実績がある。

 出雲大社の勢溜鳥居は1968(昭和43)年に創建。もともとは木製だったが、老朽化が進んでいたことから建て替えの運びとなった。木製から鋼製に替わるという点以外は「従前の鳥居とまったく同じ装いで」という施主の要望をクリア。正式に注文を受けた年初来、製作に取り掛かり笠木の両端部の微妙な反り具合や柱のテーパーサイズ(下部がφ815ミリ径、上部がφ762ミリ径)など独自のプレス技術を駆使して創り上げた。

 10月2日に現地で行われた竣工式に、製作者側として新日鉄住金などとともに出席した富田社長。「やりがいのある名誉な仕事に携わることができた」ことに感謝しつつ「今回の経験・実績をわが社のブランド価値向上につなげ、今まで推進してきた『社会に役立つ鋼構造物づくり』により一層の力を尽くしていきたい」と強調した。

社員旅行で出雲大社に

 富田製作所では「勢溜鳥居」の見物も兼ね、社員旅行で出雲大社を訪れ参拝した。実は今回の鳥居製作が契機となり別の神社の柱製作をオファーされたという。一般に〝縁結び〟に御利益があるとされるが、文字どおり「仕事の縁」が結ばれた。

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