健康長寿日本一へ 長崎県の施策 周知不足 資金集め目標の2割

 長崎県が掲げる「健康長寿日本一の県づくり」の認知度を高めようと、試行錯誤が続いている。長崎県は健康づくりの自主グループ「サポートメイト」に配るグッズの資金集めにクラウドファンディング(CF)を活用したが、周知不足などにより目標額の2割強の101万円にとどまった。担当者は「県民が健康づくりを楽しいと思える施策を打ち出したい」と巻き返しを図る構えだ。

 CFは9月11日から11月9日まで約2カ月間実施し、目標金額は450万円。長崎県がCFを活用するのは初めてだった。長崎県国保・健康増進課によると、延べ約1700人がCFのウェブサイトを閲覧したが、実際に寄付をしたのは56人。「閲覧者と寄付が結び付かなかった。もっと魅力ある返礼を準備し、会員制交流サイト(SNS)を活用して周知するべきだった」と振り返る。グッズについて、材質や数を見直すという。

 長崎県は本年度、健康長寿日本一に向けた施策を打ち出してきた。健康づくりを促進するロゴマークや川柳の募集、長崎県職員対象のウオーキング教室など、県民に対する啓発・周知活動が並ぶ。ただ、長崎県国保・健康増進課は「健康づくりは最終的に個人の取り組みになる。県民一人一人の実践をどう促すべきか」と県民を巻き込む難しさをにじませる。

 一方、企業や団体との連携については一定の手応えをつかんだという。

 企業と一緒にスポーツ教室などを開いた「県民健康まつり」(9月1、2日)には2日間で1万人以上が参加。11月初旬、「健康長寿日本一県民会議」を開き長崎県内の医療関係団体や企業の代表者らに健康づくりの実践例を紹介した。長崎県国保・健康増進課は「企業が積極的に参加してくれてありがたかった」と話す。

 年内には1万人を目標とする「サポートメイト」と、その活動を支援する企業・団体の「サポートメンバー」(目標500団体)の募集が始まる。

 「健康長寿日本一の県づくり」事業の当面の目標は2022年をめどに健康寿命を男性73・21歳(16年度71・83歳)、女性76・32歳(同74・71歳)まで伸ばすことだ。同課は「(CFを通じて)ただ『参加して』と頼むだけでは広がらないと思った。県民や企業に関わるメリットを伝えるようにしたい」とした。

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