金属行人(11月22日付)

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 電極や耐火レンガ、合金鉄、輸送費と相次ぐコストアップに苦しんだのが今年度の電炉メーカーの状況だろう。電極は来年1月からさらに値上がり。コスト高は依然として続く。振り返るのは気が早いが、主原料の鉄スクラップ価格が足元で下落する中、その他コストの〝異次元〟の値上がりを忘れてはいけない▼さらに新たな課題として浮上してきたのが強度を高めるために添加する副原料、フェロバナジウムの急騰だ。電極などと同じく中国での需要増が背景だが、そのきっかけは2008年の四川大地震までさかのぼるという。建物の倒壊で多数の死者が出たことを受けて、中国政府が鉄筋の強度を高めるようバナジウム添加を定めた新たな鉄筋規格を導入したことがバナジウム高騰の理由とされる▼地震による建物倒壊は鉄筋自体の強度ではなく、きちんと鉄筋が使われていなかったことが大きな理由との見方もある。ただ、政府の指令により中国で需要が増える以上、価格は当分下がらないとみた方がいいだろう▼代替品とされるフェロニオブの採用を電炉メーカーに働き掛ける動きも出ている。代替品の可能性について電炉メーカーには試行錯誤が求められる。その一方、鉄スクラップ以外のコスト高をユーザーにしっかり理解してもらうことも非常に大切だ。