【フルサト工業の課題と展望】〈古里龍平社長〉新システム本稼働で生産性向上

職場改革推進し中計達成へ

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――4~9月期連結決算は増収増益となった。

 「機器・工具、機械・設備、建築・配管資材の全セグメントで増収。利益面は、建築・配管資材は効率化の投資が寄与したことや値戻しがあり、堅調に推移した。機械・設備は物件ものが多く、利益率が改善。機器・工具は海外製プライベートブランドなどの拡販により収益が拡大した」

――大阪北部地震や台風21号などの影響は。

 「停電などで生産に影響が出た工場があったが、おおむね問題はなく、グループ会社を含め社員とその家族や社屋への被害はなかった。今後想定される災害に備えてBCPを再整備し、行動をシミュレーションするといった教育を行うことでグループ内に徹底していく予定」

――中計の進ちょく状況は。

 「初年度は、売上げは目標をクリアしたが、営業利益は目標に届かなかった。半期に一度部署ごとにフォローアップミーティングを行い、状況把握と対策を行っている。今年度は利益率も改善しており、上期終了時点では順調に推移していると思われる」

――シェア60%といわれる主力製品のブレースについて。

 「ブレースは売上高で前年同期比10%弱増加、原材料費の値上げに応じて販売価格は同8%程度上昇。材料価格は強い状況の中、自社努力で吸収できるレベルではなく、今後も陥没価格を含めて値上げについては検討していく」

――ハイテンションボルトは。

 「ハイテンションボルトは夏前ごろから需給がひっ迫しはじめ、受注残が増えていく状況。足元のメーカーの納期回答では来年度との声も聞かれる。工期の遅れは売上げ減につながる。協力体制を取りながら納期の正常化を働きかけていきたい」

 「価格について、ハイテンションボルトメーカーは昨年より20%の値上げを目指し、年明け以降も値上げが予定されている。当社の実績は売上高で前年に比べ2桁増、単価は5%程度上昇した」

――溶接棒について。

 「溶接棒は安定した荷動き。需要は若干上がっている印象を受ける」

――ブレースを製造する各工場の稼働率は。

 「滋賀工場を筆頭に各工場で、切断・ねじ転造・溶接といった各工程をすべてつなげ、新ライン・新生産システムを確立した。立ち上げに少し手間取ったがようやく本格的に稼働し始めた。今上期は16年上期比で生産量12%増、自動化により作業者は8%減、一人当たりの生産量は14%増と、生産性向上の効果が出始めている」

 「目標は2020年以降の需要減退期にも赤字にならない生産体制の構築。この時期から始めたことで減価償却はピークアウトしており、利益の出せる体制になっていくだろう」

――今期の連結設備投資総額は。

 「今期は約10億円を見込んでいる。具体的には、滋賀工場への新ライン設備の導入や、子会社のジーネットの名古屋支社および岐阜商事の本社の建て替えなど。グループ会社を含め、古くなった建物は随時更新していく」

――注力しているセキュリティー事業は。

 「入退室管理や画像認識などの分野でソリューションプロバイダーとしての事業展開を拡大していく。次世代移動通信『5G』によるビッグデータ社会の到来により、セキュリティー市場はさらなる拡大が見込まれており、我々もこの分野を次期成長エンジンの一つと位置付けている」

――海外事業は。

 「切削工具などの輸出入および販売を手掛けるリトラエンジニアリング(タイ)は3年前から黒字で、堅調に推移している。同様の業態の蘇州リトラ機電貿易(中国)は設備関連の受注が多く、業績に波がある。今年10月に設立したリトラエンジニアリング(ベトナム)は来年度をめどに黒字化を目指している」

――中計に掲げた「働き甲斐(がい)のある充実した職場改革」の取り組みとは。

 「本社や新しい名古屋支社に自由な空間で新しい発想を生み出すためのスペース『ナレッジ・コモンズ』を今年設置。当社グループなら誰でも使用でき、今後どのような成果を挙げるか楽しみにしている」

 「働きやすい環境づくりを目的として人事制度改革を行っている。部署が人材を募り、グループ社員なら誰でも応募できる『公募制度』、社員がFA宣言して異動先部署を指名する『FA制度』をスタートさせた。当社社員が自分のキャリアパスについて真剣に考え、能動的に創造し、能力開発につながればよいと考えている」

 「これらの制度をはじめとして、人材を適材適所に配置することで効率的な職務の遂行や職場の活性化につなげ、中計達成に向けてまい進する」(綾部 翔悟)