スマホ決済 茨城県が普及推進 中小企業で実証実験へ

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来年10月の消費税増税時の経済対策に絡んで「キャッシュレス決済」が脚光を浴びる中、県内企業への普及と消費拡大につなげようと、茨城県は中小企業を対象にスマートフォン決済の実証実験に取り組むことを決めた。キャッシュレス化は経済対策で検討されているポイント還元の受け皿として必須となっているほか、導入すれば新たな顧客獲得やインバウンド(訪日外国人客)誘致につながるとみており、「茨城をスマホ決済先進県に」(中小企業課)と意気込む。

同課によると、QRコードを利用したスマホ決済は売り上げから手数料を引かれるが、初期投資はほとんど必要ない。顧客情報を基にリピート率などのデータが得られ、客層ごとにクーポンを送信できるなど、新たな顧客開拓につなげることができる。商店街や自治体単位で導入すれば、ビッグデータとして顧客の傾向などを把握できる。

同課は実証実験の場所や時期を調整し、期間中の手数料無料化などができないか、決済事業者と詰めを急いでいる。

日本ではキャッシュレス決済の割合が2割程度と海外に比べて極端に低いとされ、「現金主義」の傾向が強い。海外観光客のうち中国などではスマホ決済が急速に普及しており、対応が急務となっている。中国最大手のスマホ決済「アリペイ」と連携している国内決済事業者もあり、普及が進めば県民や在住外国人、外国人観光客にとって、「一気に利便性が上がる」(同課)と期待される。

導入には買い物客側のスマホ利用が大前提となり、高齢者へのハードルはやや高い。ただ、金融機関の支店や現金自動預払機(ATM)が近隣にない過疎地で現金を下ろしに遠方へ出向く必要性が低くなるほか、現金処理を減らすことで労働力不足解消の一助になるなど、同課は生産性向上や売り上げアップに波及効果が大きいとみている。

県有施設のキャッシュレス決済導入に向けた検討も進む。県はこれまで法解釈が曖昧だった電子マネー決済の規制緩和を国に働き掛け、解禁される見通しとなった。これを受け、県は10月に設置した「公共施設を活用した観光誘客プロジェクトチーム」などで対応を模索している。

大井川和彦知事も「クレジットカードではなく、携帯電話(スマホ)を使った支払いがアジアでは一般的になっている。活用を県内に広げていくきっかけになれば」(10月の記者会見)と前向きだ。

県内金融機関ではIT(情報技術)と金融を結び付けた「フィンテック」の利用や研究が行われており、県内中小企業のスマホ決済導入が進めば相乗効果も期待される。(黒崎哲夫)