神田カレーグランプリ初代王者・神保町ボンディのチーズカレーはさすがの貫禄

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世界最大の「本の街」と言われる神保町。

アイドルオタク界隈で有名な『書泉グランデ』のような大型書店や、由緒あるコミック専門店として海外からの巡礼客も訪れる『高岡書店』などの新刊書店もありますが、大きな割合を占めているのは“古書店”です。神保町Webサイト『神保町へ行こう』によれば、神保町周辺の古書店の数は約180店舗もあるとのこと(※1)。

■世界最大の本の街は「カレーの街」でもあった

神保町にはもうひとつ名物があり、実はそれが「カレー」なのです。「神保町へ行こう」のサイトにも、「日本で最もカレー店密度が濃いエリアかも」と紹介されています。試しにGoogle Mapsで「神保町 カレー」で検索すると、カレー専門店、インド料理、タイ料理のレストランなどが36店がヒットします。

このカレーの街・神保町で、もっとも代表的なカレー店の一つといえば、『欧風カレー ボンディ 神保町本店』でしょう。神保町のボンディは、渋谷の『ムルギー』、信濃町の『メーヤウ』などと並ぶ、東京のカレー好きの聖地のひとつとなっています。ちなみに、神保町のカレー店としては『スマトラカレー 共栄堂』も非常に有名です。

しかもボンディ神保町本店は、『神田古書センタービル』という、古書店が集まったビルの2階に昔から居を構えています。古書店×カレーという神保町の名物同士がコラボした象徴的なお店なのです。

■「欧風カレー」という言葉はBondyが生んだ?

今回ご紹介するカレーは『Bondy 欧風カレーボンディ【チーズカレー】』。

『神田カレーグランプリ』というのは、神保町のみならず神田一帯のカレーを供しているお店が参加して年に1回開催されるコンテストのことで、来場者が実際に試食して投票した結果、1位から3位までが決定します。このイベントの記念すべき第一回で、ボンディの神保町本店がグランプリを獲ったそうなんです(※2)。

さて、ボンディのカレーの特徴は“欧風カレー”と銘打っているところ。渋谷のムルギーは“印度料理”と銘打っており、「カレーの本家はインド」という主張を感じますし、信濃町のメーヤウは“タイ食堂”と看板を出して、「みんなが知ってるインドのカレーとは違うのだよ」という差別化戦略が窺えます。

それに対してボンディは「欧風カレー」。欧風、つまりヨーロッパ風のカレーです。洋食系のカレーともいえます。

この欧風カレーという言葉は、『カレーの教科書』を著した水野仁輔氏によれば“神保町「ボンディ」が造った”のだそうです(※3)。

ご存じのように、「洋食」とは「西洋風の料理」という意味ですが、同時に西洋(米国やヨーロッパ)に行っても、日本の洋食を食べることはできません。洋食とは日本人が西洋の料理にインスパイアを受けて作り出した日本独自の料理だからです。

ボンディの「欧風カレー」もまた、日本でつくられた「西洋料理風のカレー」なわけです。

■我が青春のボンディ

筆者は、20代から30代までの雑誌編集者時代によく、神保町のボンディを訪れました。

上司や同僚と取材や打ち合わせの帰りに行ったり、ひとりで書店めぐりをしたあとに訪れたりして、けっこうハマっていました。お店で食べるときは、必ず前菜として蒸したジャガイモとバターと塩が出されます。熱々のジャガイモの皮を剥いてバターと塩をつけて食べる。これがとても好きでした。

次に、楕円形の深めの皿に盛られたライスと、銀色のソースポットに盛られたカレーが出てきます。このソースポットはイギリスなど欧州でグレービーソースなどを供するのに使われていたものをカレーに応用したもので、「欧風カレー」という呼び名の理由のひとつでしょう。

ソテーしたオニオンや小麦粉を使ってコクやとろみをだしている点で、シチューと共通する味わいがあり、それもまた「欧風」の所以(ゆえん)かもしれません(※4)。

なおライスの上には細かく刻まれたチーズが一面に振りかけられており、カレーを上に注ぐとチーズが溶けて、さらにまろやかでコクのある絶妙な味わいになります。

■欧風カレーの象徴的なお味を手軽に楽しめる

ここまでは、お店で食べたボンディの欧風カレーの話。今回のレトルト版ボンディ欧風カレー の味わいはどうでしょうか?

まずは原材料を確認。チーズやバターが多めに使われており、店舗メニューの「チーズカレー」を再現しよう、という意気込みがうかがえます。

一口めは「甘い!? 」という印象です。 そこから、じわーっと辛さがにじみ出てきました。中辛の割にけっこう辛い。3口めぐらいで鼻の周辺に汗が浮かんできます。

「チーズカレー」と名乗るだけあって、きちんとチーズの風味もしますし、溶けかけたチーズの食感も一瞬だけありました。見た目はチーズっぽくないですが、きちんとチーズの味わいがあり、ボンディのお店で食べた「チーズのせカレー」の雰囲気が出ています。

たしかにインド風でもないし、もちろんタイ風でもない。日本人の僕らがもっともなじみのある洋食のカレーを上品にして味わい深くしたボンディのカレー。レトルトカレーですが、けっこう満足感が高いです。付け合わせにコンビニのサラダでも用意すれば、きちんとしたランチになるでしょう。

ボンディ店舗で提供されるような蒸しジャガイモが欲しい場合は、ジャガイモをよく洗ってからをラップして電子レンジで3分〜4分ほどチンして、5分から10分そのまま蒸らせばそっくりのもができますよ(塩とバターも忘れずに!)。

気になるお値段ですが、ネット通販で5個パックが1676円で売られていました(Amazon/2018年11月現在)。1個あたり335円程度と、市販のレトルトカレーとしては少しだけ高めかもしれませんが、コストパフォーマンス的にはむしろお得ではないかと個人的には思いました。

■総評

味 ★★★★★

辛さ ★★★☆☆

ボンディ度 ★★★☆☆

「欧風カレー」としての満足度はとても高いと思います。「欧風」と名乗るだけの洋食的な旨みがしっかりと堪能できます。

ですが「ボンディ」かと言われると何かが足りない……。なんだろう? やっぱり蒸したジャガイモとバターがないせいでしょうか?

欧風レトルトカレーとしては満足できること間違いなしです。お試しあれ。

【参考】

※1 神保町へ行こう

※2 神田カレーグランプリ

※3 NHK出版 あしたの生活-欧風カレーと英国式カレー

※4 ハウス食品-カレーの入っている取っ手付きの器・カレーポット