大混戦のJリーグはいよいよ最終盤を迎えている。ACL争いや残留争いに残っているチームも徐々に限られてきているが、消化試合を感じさせるゲームは見られない。
先日、Jリーグの今夏の移籍マーケットでチームを躍進に導いた選手たちを紹介した。そこで、今回は夏の移籍で新天地の期待に応えられているとはいえない選手を紹介する。
ハーフナー・マイク(ベガルタ仙台)
今シーズンのリーグ開幕戦では試合終了間際に豪快なボレーを突き刺し、順調な滑り出しを見せたが、ヴィッセル神戸が今年から取り入れたポゼッションサッカーには順応できず、リーグ戦で5節以降は出場機会が0だった。
そこで、出番を求め夏のマーケットでベガルタ仙台に移籍するも、ここまで1得点。スタメン出場もわずか2試合で、最近はベンチ入りすら危うい状況である。
しかし、守備面での貢献や動き出しの少なさは難点だが、高精度のクロスは確実にゴールに結びつける得点力は魅力である。
194㎝と日本人離れした高さも絶対的な武器で、同タイプのフォワードがいない今のチームでは貴重な存在である。
かつてJ1でシーズン17ゴール、エールディビジでも16ゴールをマークした実績を持つ。まだ31歳と、老け込むには早すぎる。
豊田陽平(サガン鳥栖)
今年初めに韓国の蔚山現代へ移籍を発表し、サポーターを驚かせた。しかし、現地の期待に十分に応えることができず、夏に慣れ親しんだサガン鳥栖へ復帰し、初の海外移籍は半年で幕を閉じた。
また、復帰後も厳しい状況に置かれている。夏の移籍マーケットでクラブにはフェルナンド・トーレスと金崎夢生という2枚看板が加入しており、ここまでスタメン出場の機会は0。途中出場しても与えられるのは短い時間のみで、結果を残せていない。
来年は現在負傷離脱中のビクトル・イバルボが復帰予定で、東京オリンピックを目指す田川亨介も順調に成長している。クラブとしても、この下部組織出身の期待の若手にチャンスを与えたいと考えているだろう。
境遇はさらに厳しくなるため、シーズン終了後の動向に注目である。
長沢駿(ヴィッセル神戸)
昨シーズンはキャリア初のリーグ戦2桁ゴールを記録するも、今シーズン前半戦は開幕戦に決めた1点のみ。チームも下位に沈み、出場機会も徐々に減っていった。
安定した出場機会を求め、渡邉千真のガンバ大阪移籍に伴ってヴィッセル神戸に半年間の期限付き移籍を果たす。
しかし、その渡邉が新天地で主力として活躍している一方で、自身は思い通りにいっていない。
当初はウェリントンのバックアッパーとしてメンバー入りし、そのウェリントンの欠場時はスタメンで起用されていた。
だが、最近はウェリントンの控え降格により、押し出される形になりベンチ入りすら厳しい状況。
来年ガンバ大阪に復帰したとしても、アタッカーに困っていないチームの構想からは外れているだろう。
カテゴリーを1つ落とせば得点を量産できそうだが、本人の意思はどうのなのか。冬の去就に注目したい。
エレン(ジュビロ磐田)
シーズン途中に契約解除となったギレルメの後釜として加入したウイングバック。
トルコリーグの名門クラブを渡り歩き、トルコ代表経験もある実力者は、コンヤスポルを今夏に退団しており、フリーの身でチームに加わった。
サイドからのクロスを武器としており、チームの新たな得点パターンが構築されると思われたが、キャリア初の海外移籍ということもあり、新チームでの連携面に多くの課題が見られた。
特に、静岡ダービーでは失点に直結するポジショニングミスを犯すなど、その経歴に見合った活躍はできていない。
また、先月の湘南ベルマーレ戦で無念の負傷交代。検査の結果、今シーズン中の復帰は微妙な状況だと伝えられている。
日本に適応して来年以降の活躍に期待したい。
金崎夢生(サガン鳥栖)
フェルナンド・トーレスとともに、深刻な得点力不足に苦しむサガン鳥栖へ救世主として加入した。
鹿島アントラーズではエースとして君臨し、今シーズンも前半戦で7ゴールと結果を残していた中での移籍ということで、大きく動いた今夏のマーケットの中でも、最大のインパクトを残した国内移籍といえる。
1年前にはヴィッセル神戸からの破格の条件でのオファーを蹴った経緯もあり、移籍後のインタビューなどからも今回の移籍に対して相当な覚悟が感じられた。
しかし、中断期間中の大型補強を経てもチームの成績は上向かず、現在も残留争いを抜け出せずにいる。
自身も加入後2ゴールしか挙げられておらず、決して満足してないだろう。その裏で鹿島がACLを制覇していることもなおさらである。
個人の出来に問題があるわけではないが、かけられた期待の大きさを考えるとここに名前を挙げざるを得ない。
新天地の背番号に44を選んだ理由の通り、チームも自身も幸せになれるか。残り試合に期待したい。