日本代表、控え選手への「酷評」はまだ早い!それを示す“数字と組み合わせ”

激動だった2018年の全日程を終えた日本代表。

ロシアワールドカップ後に発足した森保一体制では中島翔哉、堂安律、南野拓実らの攻撃陣が爆発し、5試合を戦って4勝1分。無敗のままで来月1月5日に開幕するアジアカップを迎えることとなった。

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若手たちの躍動でサッカー人気も回復の兆しを見せ、内容・結果ともに満足のいくものではあったが、一方で課題も伝えられている。

中島、堂安、南野、大迫らビッグ4(実際にはビッグ3、新三銃士、黄金のカルテットなど呼ばれ方はさまざまだが、ここでは便宜上ビッグ4とする)と言われる中心メンバーの控え選手たちに各メディアから厳しい評価が寄せられているのだ。

だがそうした一方的にも近い論調について、ここでは異議を唱えたい。なぜならビッグ4を除く選手たちは、瑕疵はあったにせよ十分なサポートを受けたとは言い難いからだ。

まずは、圧倒的に評価されているビッグ4と呼ばれる選手たちの特徴を見てみよう。

堂安 律 ゲームメイカー
中島 翔哉 ドリブラー
南野 拓実 フィニッシャー
大迫 勇也 ポストプレイヤー

おおまかにいえばこんなふうに括ることができるだろうか。大迫が最前線でしっかり収めることで、異なる特徴を持つ3人の若手たちが“イケイケ”で攻撃するというバランスが上手く機能したといえる。

しかし、その反面、初戦のコスタリカ戦から機能“しすぎた”ことは仇になったともいえる。

こちらの表を見てもらいたい。

こちらは森保監督になって起用された2列目より前の攻撃的な選手と、ビッグ4が一緒にプレーした時間を示すもの。

ビッグ4がそれぞれ250分近く同じピッチに立ったのに対し、それ以外の選手は、大迫の招集が免除されたコスタリカ戦こそ小林悠が3人と68分間プレーしているものの、ほとんど45分にも満たない時間しか彼らとプレーしていないのだ。

特に、現チームの象徴的な存在となっている中島翔哉とプレーした選手は、小林、浅野以外ただの1分さえもない。

森保監督はコスタリカ戦の結果を受けて2列目3人を軸にしつつ、他の選手にチャンスを与えるために試合によってメンバーを一新した。しかし、どんなに良い選手でも“軸”のないチームの中で活躍するのは簡単ではない。

さらにいうと、そうした試合で起用された選手のタイプはほぼ「受け手」だった。キルギス戦の先発は杉本、北川、原口、伊東に加え、ボランチもゲームメイカータイプの柴崎ではなく、守備や球際の強さを評価される三竿、守田だった。

彼らは皆、どちらかといえば周りを使うよりも使われることでより生かされる選手たちだ。

「受け手」という意味では南野も一緒である。

しかし彼は初戦で機能したことにより、中島、堂安、さらにその後は大迫も含め、誇張していえば“周りを生かす天才”のような3人からサポートされる恩恵に恵まれた。だからこそ3試合連続4ゴールという結果を残せたとみることもできよう。

もちろん限られた機会をモノにしたのは彼自身の力であるが、もし同じポジションに別の選手(例えば北川)を当てはめていたのならどうだったであろうか。他の選手も同様に、中島、堂安のどちらか一人だけでも同じピッチの上に立てていれば、相乗効果でまた違った結果を残せていたかもしれない。

仮にメンバーを一新するにしても、せめて香川真司のように周りを生かせる選手を一人は組み込ませるべきだったのではないだろうか。

森保監督はキルギス戦の前に行われた会見で「2チーム分、それ以上の選手層を持って戦えるように」と話した。それ自体が悪いわけではないが、優れた2つのチームを作るよりも、中心的な選手が1人、2人が欠けてもその穴をきっちり埋められる選手を発掘するチーム作りも必要だったのではないだろうか。

ほぼ全てが上手くいっているような森保体制であるが、あえてその点については問題提起をしておきたい。

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