AI活用し水を浄化 災害シャワーなど活用 県とベンチャーが実証実験へ

 人工知能(AI)を活用して汚れた水を浄化し、再利用する技術を開発したベンチャー企業「WOTA」(ウォータ、東京都文京区)と県は22日、県総合防災センター・消防学校(厚木市)などで実証実験を行うと発表した。災害用シャワーの設備を実際に使用し、浄化データの蓄積や使われ方を確認、広く活用してもらうための足掛かりとする。

 同社が開発したAI水循環システム「ウォータボックス」は、排水を高い効率でろ過し、繰り返し循環させる。シャワーの場合、50リットル当たりの排水は1リットル以下。残りの水はきれいになるため、同じ水を何度も使うことができる。浄化した水は国が定める公衆浴場基準に合致するほか、雨水などの活用も可能だ。

 汚れやウイルスは内蔵されたフィルターで除去。浄化に最適な組み合わせはAIが判断する。配管工事がいらず、電源があれば短時間で設置できる。100リットルの水で、約100回のシャワー入浴ができるという。2016年の熊本地震や、今年発生した北海道胆振東部地震の被災地でも実際に使用された。

 同社の北川力社長(31)は「実証実験を経て、今後国内外の災害地域などで展開していければ。行政に認められれば、災害現場にもより入りやすくなる」と話す。

 22日は、黒岩祐治知事によるデモンストレーションも行われた。県総合政策課は「配管が必要なく、移設も簡単。イベントなどでも活用し、普及と発信に力を入れたい」と話す。

 災害用シャワー設備は、12月3~20日に県総合防災センター・消防学校で使用。設備は県内のイベントでも展示される。

北川社長(右)から設備の説明を受ける黒岩知事=県庁

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