この冬、Jリーグにやって来るかもしれない外国人選手たち(2018-19編)

春毎年恒例のこちらの企画。今回も冬の移籍市場で「Jリーグへやって来るかもしれない外国人選手」を紹介したい。

ちなみに昨年公開した「Jリーグにやって来るかもしれない外国籍選手2017冬編・その1、その2」ではヤン・ドンヒョン(C大阪)が、「2018夏編」ではレオ・ミネイロ(福岡)、ピーター・ウタカ(徳島)が“来J”。

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また過去には、ムリキ(元FC東京)、オスマール(C大阪)などのJクラブ加入を的中させている。

今回もやって来る選手はいるだろうか。熟考に熟考を重ねた総勢18名。ぜひご覧ください。

リッカルド・モントリーヴォ

Riccardo Montolivo

国籍: イタリア
ポジション: MF
年齢: 33歳
所属: ACミラン (ITA)

精密機器のような正確なパスで中盤からゲームをコントロールするイタリア・サッカー界屈指のレジスタ。

ミランでは主将として活躍していたが、近年は故障もあり出場機会が激減。現在まで満足した成績を残せずにいる。

ミランとの契約は2019年6月までだが、それよりも早く新天地を求める可能性が高い。

スター性は抜群であり、Jへやって来た際はルーカス・ポドルスキ、アンドレス・イニエスタ(ともに神戸)、フェルナンド・トーレス(鳥栖)らと同様「大物スター選手」として話題を呼びそうだ。

【Jに来るかも知れない度】★★★

【Jで活躍するかもしれない度】★★★★

チョ・ヒョヌ

Jo Hyeon-woo (조현우)

国籍: 韓国
ポジション: GK
年齢: 27歳
所属: 大邱FC (KOR)

今夏のロシアW杯で、一躍名を馳せた189cmの大型ゴールキーパー。その特徴的な髪型を覚えているJリーグサポーターも多いのではないか。

在籍する大邱FCは現在Kリーグ下位ラウンドを戦っており、すでにKリーグ1部残留を確定済み。ただ、実力はクラブの規模を超えており、今冬は韓国の強豪クラブなどへの移籍が噂されている(※ただし大邱は韓国FAカップの決勝へ進出しているためACL出場の可能性あり)。

ヒョヌ自身は将来的な欧州挑戦を夢見ているようだが、ステップアップ的な意味合いも含めたJリーグ入りは十分考えられるタレントだ。

【Jに来るかも知れない度】★★★

【Jで活躍するかもしれない度】★★★★

ラファエル・シルバ

Rafael da Silva

国籍: ブラジル
ポジション: FW
年齢: 26歳
所属: 武漢卓爾 (CHN)

圧巻のスピードとテクニックでゴールを量産するストライカー。

昨年浦和レッズでACL優勝に貢献し、今シーズンから移籍した武漢卓爾でも得点ランキング2位となる22ゴールを挙げクラブの1部(スーパーリーグ)昇格に貢献した。まさにキャリアの絶頂期を謳歌している印象である。

ただ中国スーパーリーグは2部と比べてレベルが跳ね上がるため、昇格クラブは毎年外国人選手の入れ替えを余儀なくされている。

ラファエル・シルバも決して安泰とは言えない状況にあり、今オフにローンなどの形で放出される可能性も否定できない。ACL王者に輝いた鹿島アントラーズやJ1連覇を果たした川崎フロンターレ、古巣の浦和も含めた補強資金に余裕のあるクラブが獲得に動いてもおかしくはないだろう。

活躍を保証された「超優良外国人選手」としての評価は最高の星5つだ。

【Jに来るかも知れない度】★★★

【Jで活躍するかもしれない度】★★★★★

ブルニーニョ

Bruno Anderson da Silva Sabino (Bruninho)

国籍: ブラジル
ポジション: FW
年齢: 29歳
所属: 広州富力 (CHN)

キレ味鋭いドリブル突破を武器とするウィンガー。178cmとサイズもあり、ストライカーとしてもプレー可能だ。

2016年から籍を置く広州富力では一時期「背番号10」を与えられたものの、レナト(元川崎F)の台頭や外国人枠削減の煽りを受け出場機会が減少。現在はいわゆる登録外の立場にある。

近年は満足した成績を残せていないが、年齢的にもまだまだ第一線で輝ける余地は十分。市場価値の下がった今はJ1下位~J2中堅クラスまで手の届く範囲にあると思われるため、今冬は獲得に名乗りを挙げるJクラブが出てきてもおかしくなさそうだ。

個人的にもっとも動向を注視している選手。

【Jに来るかも知れない度】★★★

【Jで活躍するかもしれない度】★★★

エリアス・アギラル

Elías Fernando Aguilar Vargas

国籍: コスタリカ
ポジション: MF
年齢: 26歳
所属: 仁川ユナイテッド (KOR)
※CSエレディアーノ (CRC)からローン移籍中

正確無比のパスと2列目からの飛び出しに定評のある左利きのアタッカー。

今季から加入した仁川では攻撃の中核を担う存在として34試合に出場。ロシアW杯以後はコスタリカ代表としてもコンスタントに招集されている。

所属する仁川は現在リーグ最下位。仮に2部へ降格した場合は韓国、中国を含む多くのクラブが買い取りでの獲得に動きそうだ。

実力の割にそれほど知名度は高くない今、Jクラブにとっても狙い目の選手であることは間違いなさそう。

【Jに来るかも知れない度】★★★

【Jで活躍するかもしれない度】★★★★

パウロ・エンリケ

Paulo Henrique Carneiro Filho

国籍: ブラジル
ポジション: FW
年齢: 28歳
所属: フリー
※前所属はアクヒサル・ベレディイェスポル (TUR)

ブラジル人らしい狡猾な動きと繊細な足技を生かしてゴールを奪う185cmの大型ストライカー。

オランダのヘーレンフェーンでブレイクし、トルコのトラブゾンスポルや中国の上海申花などでゴールを量産。2017年からはトルコの中堅クラブ、アクヒサル・ベレディイェスポルでプレーしていた。

現在はアクヒサル・ベレディイェスポルを退団し、フリーとのこと。

実績を積んだトルコ、中国のほか、出身地であるブラジルなどのクラブから声がかかりそうだが、Jクラブが獲得してもおかしくはない実力を持つ。

【Jに来るかも知れない度】★★

【Jで活躍するかもしれない度】★★★

ルーコン

Lucas Vinicius Gonçalves Silva (Lucão)

国籍: ブラジル
ポジション: FW
年齢: 27歳
所属: ゴイアスEC (BRA)

今シーズン、ブラジル・セリエBで得点ランキングトップを走るストライカー。

187cmの長身を生かしたヘディングはもちろん、スピード面にも優れており、多彩なゴールパターンを持つ。

フルネームを見てハッとされた方もいるかと思われるが、彼は2011年に湘南ベルマーレでプロデビューを飾った「元Jリーガー」(※湘南時代の登録名はルーカス)。

当時はわずか1年で退団する憂き目に遭ったが、輝きを増した現在はどうか。市場価値的にはJ1上位~中堅クラスが妥当か。

【Jに来るかも知れない度】★★

【Jで活躍するかもしれない度】★★★★

ロマリーニョ

Romário Ricardo da Silva (Romarinho)

国籍: ブラジル
ポジション: FW
年齢: 27歳
所属: アル・イテハド (KSA)

高い決定力を誇るセカンドトップ。

右足のシュート精度が高く、FKや中距離からのミドルも強烈かつ正確。アル・ジャジーラの一員として参加した2017年のクラブW杯ではレアル・マドリー相手にゴールを決め、一躍世界に名を轟かせた。

今シーズンからはサウジアラビアの名門アル・イテハド・ジェッダへ加入したものの、ここまで9試合1ゴールと低迷中。今冬に放出される可能性は非常に高いといえる。

金満中東クラブとの競合になりそうだが、攻撃陣のレベルを上げる「ワンランク上のタレント」として獲得に名乗りを挙げるJリーグのクラブがあるかもしれない。

【Jに来るかも知れない度】★★

【Jで活躍するかもしれない度】★★★★

デッラトーレ

Guilherme Augusto Alves Dellatorre

国籍: ブラジル
ポジション: FW
年齢: 26歳
所属: APOELニコシア (CYP)

Jクラブにとって喉から手が出るほど欲しいであろう本格派のストライカー。

186cmと大柄な外見に似合わず繊細なテクニックを誇り、スペースへの走り込みも頻繁に行う。決定力も高く、昨シーズンはキプロスリーグで15試合5ゴールを記録している。

現在は新加入選手の台頭もあり、スタメンとベンチを行き来する状況。契約期間を残しているため獲得には移籍金が発生するが、今冬はローン移籍で他クラブへ移籍する可能性もありそう。

タイ1部リーグのスパンブリーFCに在籍した昨年春、鹿島とのトレーニングマッチで2ゴールと活躍。J1中堅~J2上位クラスのクラブでなら十分エースとして活躍できるはずだ。

【Jに来るかも知れない度】★★

【Jで活躍するかもしれない度】★★★★

アンデルソン・ロペス

Anderson José Lopes de Souza

国籍: ブラジル
ポジション: FW
年齢: 25歳
所属: FCソウル (KOR)
※トンベンセFC (BRA)からローン移籍中

昨シーズンまでサンフレッチェ広島でプレーした左利きの攻撃的MF。

広島では圧倒的な個の力を見せつけJ1で10得点を記録した一方、チームプレーに難のある性格を露呈。わずか2年でチームを去った。

今シーズンからプレーするFCソウルでは序盤こそ主軸として活躍するも、チーム全体の不調と監督交代の憂き目に遭い出場機会が激減。今冬の退団は確実とされる。

局面打開力に優れているため、終盤のジョーカー的な役割として獲得を検討するJクラブがありそうだ。

【Jに来るかも知れない度】★★★★

【Jで活躍するかもしれない度】★★★

ヨハン・アイスウォルド

Johan Eiswohld

国籍: スウェーデン
ポジション: DF
年齢: 28歳
所属: IKシリウス・フォトボル (SWE)

スウェーデン1部リーグの中堅クラブでプレーする186cmの長身センターバック。

かつてU-19スウェーデン代表に選出された経歴を持ち、守備的MFとしてもプレー可能。フィジカルの強さはもちろん、前線へ積極的に縦パスを供給するなど高い攻撃性も兼ね備える。

今シーズンはシリウスで準レギュラーとして23試合に出場したものの、すでに退団が発表されている。スウェーデンリーグはJリーグと同じく「春秋制」。彼のような契約満了選手に狙いを定めているJクラブも少なくないのではないだろうか。

実力的にはJ1中位~J2のクラブでレギュラーが務まりそうな人材だ。

【Jに来るかも知れない度】★

【Jで活躍するかもしれない度】★★★

キャメロン・イワサ

Cameron Toshiro Iwasa

国籍: アメリカ
ポジション: FW
年齢: 25歳
所属: サクラメント・リパブリックFC (USA)

左右両足から繰り出される強烈なシュートが持ち味のストライカー。

今シーズンのユナイテッド・サッカーリーグ(USL ※アメリカ2部相当)では得点ランク4位タイの17ゴールを挙げ活躍した。ちなみに名前の通り、祖父が日本人の日系3世である。

USLはすでにシーズンが終了しており、イワサとクラブとの契約も今シーズンまでとのこと。過去のインタビューでは「日本語を話せるようになりたい」とも話しており、ルーツのある日本への興味は強そうだ。

Jクラブ加入が実現すれば巷で話題の「USA」旋風を巻き起こすかもしれない。

【Jに来るかも知れない度】★

【Jで活躍するかもしれない度】★★

ヴィトール・サバ

Vítor Rodrigues Saba

国籍: ブラジル
ポジション: MF
年齢: 28歳
所属: フォルトゥナ・シッタート (NED)

ブラジル人らしい高いテクニックを駆使したパスで違いを生み出す左利きのファンタジスタ。

2014年に小野伸二(現札幌)と入れ替わりで加入したウェスタンシドニー・ワンダラーズでは、背番号10をつけACL優勝を経験。以降はイタリア、ギリシャ、バーレーン、香港のリーグでプレーし、今シーズンからはオランダ2部へ活躍の場を移している。

J入りの噂はまだないが、その創造性はJ2~J3では十分通用するレベル。攻撃に変化を加えたいクラブにはうってつけの存在である。

もし鯖の名産地であるJクラブに加入すれば、「V獲る(ヴィトール)鯖(サバ)」として地域とコラボ商品を展開できそう。

【Jに来るかも知れない度】★★

【Jで活躍するかもしれない度】★★

ヴィンセント・ヴァイル

Vincent Weijl

国籍: オランダ
ポジション: MF
年齢: 27歳
所属: ÍAアクラネース (ISL)

高精度の左足が武器の攻撃的MF。

2008年にイングランド・プレミアリーグの名門リヴァプールに青田買いされたものの伸び悩み、これまでスペイン、香港、デンマーク、マレーシアと世界各国のクラブを渡り歩いてきた。現在はアイスランドの古豪ÍAアクラネースに所属。

185cmとサイズがあり、スピードに乗ったドリブルからのアシストも期待できる反面、ヘディングなどのプレーは苦手とする。

現時点でJ行きの噂はないが、昨シーズンのアレン・ステヴァノヴィッチ(元湘南)のような「かつての逸材枠」として獲得に動くクラブもありそうだ。

【Jに来るかも知れない度】★

【Jで活躍するかもしれない度】★★

サフィク・ラヒム

Safiq Rahim

国籍: マレーシア
ポジション: MF
年齢: 31歳
所属: フリー
※前所属はジョホール・ダルル・タクジムFC (MAS)

卓越したプレービジョンを持つマレーシア・サッカー界を代表するMF。

2014年に行われた東南アジア選手権ではMFながら得点王を獲得。勝負どころの決定力の高さには定評がある。

またマレーシア代表と所属していたジョホール・ダルル・タクジムで長年主将を務めたキャプテンシーも魅力。今冬の退団時にはオーナーを務めるジョホール州の皇太子が直々にメッセージを寄せ、別れを惜しんだ。

契約期間を残した中での退団劇に周囲は驚いたが、クラブでは全人未踏のリーグ5連覇を成し遂げており、新たなチャレンジとの意味合いが強い。

東南アジアではタイのチャナティップ・ソングラシン(札幌)に引けを取らない大スターのひとり。Jで通用するかは微妙なところだが、マーケティング面での効果を考慮するとぜひ注目したい選手である。

【Jに来るかも知れない度】★★

【Jで活躍するかもしれない度】★

ハディ・ファイヤット

Hadi Fayyadh

国籍: マレーシア
ポジション: FW
年齢: 18歳
所属: フリー
※前所属はジョホール・ダルル・タクジムFC II (MAS)

マレーシア中が注目する大型ストライカー。

188cmの長身を生かした懐の深いボールキープと打点の高いヘディングが持ち味。世代別代表の常連であり、今夏に行われたジャカルタ・アジア大会では18歳ながらU-23代表のチームで10番を背負いプレー。今秋のインドネシア・AFC U-19選手権にも10番として出場した。

クラブレベルでは2016年から現地の強豪ジョホール・ダルル・タクジムのアカデミーに在籍していたが、今年9月に「将来的なキャリアアップ」を理由にクラブを退団。直後に訪日し、ロアッソ熊本とファジアーノ岡山のトライアルに参加した。

そして11月末には再び岡山のトライアルに参加するとのこと。まだまだ粗削りながら、ポテンシャルは高い。

【Jに来るかも知れない度】★★★★★

【Jで活躍するかもしれない度】★

マルコ・バリーニ

Marco Ballini

国籍: タイ/イタリア
ポジション: DF
年齢: 20歳
所属: チャイナートFC (THA)

イタリア人の父親とタイ人の母親を持ち、かつて長友選手も活躍したACチェゼーナのアカデミーで育成された199cmの超大型かつ左利きのセンターバック。

今年1月に加入したチャイナートFCでは終盤からレギュラーポジションを掴み、16試合に出場。秋にはタイ代表にも初選出された(出場はなし)。

現時点でチャイナートとの契約を残している身ではあるが、前述のファイヤットと同様高い潜在能力を持つ東南アジア有数のタレントのひとり。

現実的なレベルはJ2~J3あたりか。J1の有力クラブが先行投資を目的に獲得し、J2やJ3のクラブにレンタルさせるケースもありうる。

【Jに来るかも知れない度】★

【Jで活躍するかもしれない度】★★

アンディク・ベルマンサ

Andik Vermansyah

国籍: インドネシア
ポジション: MF
年齢: 26歳
所属: フリー
※前所属はケダFA (MAS)

163cmと小柄な体格ながら、小刻みなドリブル突破からチャンスを生み出すインドネシア産のアタッカー。

サイズやプレースタイルから「タイのメッシ」ことチャナティップと比較されることもしばしば。個人的にはチャナティップよりも攻撃性能を高くし、戦術理解力を差し引いたイメージである。

今シーズンはマレーシア・スーパーリーグのケダFAで13試合2ゴールと不本意な成績に終わり、退団が決定済み。

すでに東南アジアの複数クラブが獲得の意思を示しているようだが、2013年にはヴァンフォーレ甲府のトライアルに参加した経歴を持つことから、J入りの可能性も残す。

J2下位~J3クラブならレギュラー争いに割って入ることができそうだ。

【Jに来るかも知れない度】★★

【Jで活躍するかもしれない度】★

いかがだっただろうか。

Jリーグは11月20日に行われた理事会で、2019シーズンからの外国籍枠拡大を決定。登録人数はすべてのカテゴリーにおいて無制限に。試合エントリーはJ1が「5人」、J2とJ3が「4人」までとなった。そして、提携国枠(タイ、ベトナム、ミャンマー、カンボジア、シンガポール、インドネシア、マレーシア、カタール)は引き続き外国籍選手枠にカウントされない。

枠が拡大したことで今後各クラブが外国籍選手の獲得に活発になるとみられる。また「アジア枠」が廃止された影響だが、登録枠が無制限となったことで当面は影響を受けないと思われる。若い中国人選手の加入も引き続き増えていくのではないか。

最後に大物外国籍選手に関して。欧州の多くはまだシーズン真っ最中なため、イニエスタ(神戸)のような超一流選手の加入は落ち着きそう。ただ前述のモントリーヴォのような戦力外扱いされている選手や中国、アメリカなど「春秋制」を採用するリーグに所属するビッグネームはやって来る可能性が大いにありそうだ。

いよいよ始まる「登録無制限時代」。紹介した彼らも含め、今オフも多くの外国籍選手がJリーグにやって来ることを心待ちにしている。

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