「町をつくる」覚悟示す 高田旭人社長インタビュー 新スタジアム J2降格「構想に変更ない」

 サッカーJ2に降格が決まったV・ファーレン長崎。親会社で、長崎市に新スタジアムを計画しているジャパネットホールディングスの高田旭人社長に、計画の進捗(しんちょく)状況やV長崎の来季以降の強化策を聞いた。

 -V長崎がJ2に降格することが決まった。新スタジアム構想に変更はないか。
 全く変更はない。会社としてリスクを負って500億円超のお金を使うのは、一過性ではない。J1で盛り上がっているからという思い付きではない。先頭に立って「町をつくる」という覚悟を示したい。

 -来季に向け、親会社としての強化策は。
 (当初の)「3年で10億」どころか20億近く使うことになりそう。スタートダッシュで土台づくりの投資だ。1年でJ1に戻れるようにしたい。有名選手の獲得など短期的な強化策は分かりやすいが、そうではなく、中長期的な視野で地元に根ざしたチームづくりを目指している。

 -スタジアム構想の発表から半年。進捗状況は。
 9月にスイスと英国、オランダ、ドイツの4カ国でスタジアムを見てきた。日本は国民体育大会(国体)の延長線上で陸上競技場を造り、そこでサッカーもしている。欧州では、試合の日は1日楽しめる環境設備が整っている。観客席とピッチも近く、選手の声や足音まで聞こえてくる距離だ。それを実現したい。
 決済にはキャッシュレス導入を検討する。来年春にもスマートフォンの専用アプリを立ち上げる。完成までは工事の進み具合などを情報発信し、開業後は支払いに使えるようにする。V長崎のチケットを購入できる機能も盛り込みたい。5年後だから技術も進歩する。食事の注文など、アプリをプラットホームとして楽しめるようにしたい。

 -幸町工場跡地周辺の整備についての計画は。
 近隣の長崎市中部下水処理場の活用については、市と検討している。ロープウエーの延伸についても、市と話をしている。施設内まで一つ駅が延びる構想だ。法令関係がクリアできれば、面白いと思う。

 -地元後援会が活動を再開した。経済界に求めたいことは何かあるか。
 活動再開はありがたい。各企業の判断なので何とも言えないが、地元のチームなので協力をお願いしたい。観客が入らず、スポンサーが集まらず、試合も勝てなかったら収入はない。魅力的に、強くするためにはお金がいる。経営は厳しい。Jリーグのライセンスに影響があるので、赤字にできない。今はジャパネットがかなり手出しをしていることを理解してほしい。これは健全ではない。行政、企業、個人、そして長崎が一体となってチームづくりをするために、火中の栗を拾ったと思っている。

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