守れ「トンボの楽園」 乾草沼で保全団体発足 水質浄化へごみ拾い 写真展や観察会で周知 /横芝光

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開発が進む乾草沼一帯。水辺のすぐ近くにあった雑木林が大きく削られ更地になっている=7月(乾草沼環境保全会提供)

 希少種を含め約30種のトンボが生息する横芝光町宮川の「乾草沼」が、周辺の雑木林の伐採などで急激な環境変化にさらされている。崩壊の危機にひんした“楽園”の生態系を守ろうと、地域住民が立ち上がり、保全団体を発足した。今後、定期的なごみ拾いなどで水質をきれいにする取り組みのほか、写真展を開催するなど保全の必要性を訴える活動を積極的に展開することにしている。    (東金支局・堀井研作)

◆50万平方メートルの水辺

 乾草沼は、町の中心部から車で数分の人家などが点在するエリアにある面積約50万平方メートルの水辺。環境省が準絶滅危惧種に指定するアオヤンマや千葉県最重要保護生物のトラフトンボなどが共生する全国的にも珍しい昆虫や水生生物の楽園だ。一帯には赤や黒、青など色とりどりの成虫が飛び回り、シーズンには愛好家らがカメラ片手に連日訪れている。  水面部分は町有地だが、陸地は複数の個人が所有する民有地となっている。このため各区画では近年、重機が木々を伐採して太陽光発電装置が設置されるなど開発が進行。こうした開発が保水機能や水質の低下につながるとみられ、水中で繁殖するトンボなどへの影響が懸念されている。

 水辺の生き物たちの危機を傍観してはいられないと今年9月上旬、町民ら22人が「乾草沼環境保全会」(土屋敏彦会長)を立ち上げた。当面は現状の環境の維持管理に力を注ぎ、ブルーギルやブラックバスといった特定外来種や藻類の駆除のほか、不法投棄されたごみの回収などを定期的に行う計画だ。

◆環境保護に限界も

夏には多くのトンボが飛び交う乾草沼。かつて水辺の近くまで広がっていた雑木林が後退し、重機も見える=10月、横芝光町の乾草沼

 ただ、開発はあくまで民有地で行われており、現在計画されている同会の活動だけでは環境保護には限界がある。将来的には地権者などを巻き込んだ多角的な取り組みが欠かせない。同会幹部も「環境が維持されるのが一番だが、現状で地権者の理解を得るのは難しい」と吐露する。

 このため、同会は乾草沼の生物多様性を広く町民に発信する活動に目下の照準を合わせる。町民に希少生物に親しんでもらおうと、トンボが成虫になるシーズンを中心とした現地での観察会を開くほか、来春には写真展開催も予定。市民活動を支援する町の「コミュニティ活動育成事業」の補助金を消耗品購入など事業費に充てるという。

 同会の担当者は「全国各地でトンボの生息地が消滅する中、乾草沼はシンボル的存在。まずは保護の機運を醸成し、感触を確かめながら少しずつ活動していきたい」と話している。