海底探査世界一へ 国際大会決勝進出の日本、横浜で出発式

 日本の研究機関や企業の若手技術者らでつくる海底探査チーム「Team KUROSHIO(チームクロシオ)」が12月、無人ロボットで深海底の地形図を作製する技術を競う国際大会の決勝に出場する。23日には横浜市西区で出発式が行われた。メンバーたちは日本の最先端技術とチームワークで、謎に満ちた深海に挑む。

 チームクロシオは海洋研究開発機構(JAMSTEC)と東京大学、KDDI、ヤマハ発動機など8機関の約30人で構成する。月面探査レースなどを手掛ける米国のXプライズ財団が主催する国際大会「シェル・オーシャン・ディスカバリー・Xプライズ」には世界各国から32チームが参加。書類審査や技術評価による予選を経て8チームが決勝に進出した。欧米のチームが多くを占める中で、チームクロシオは唯一のアジア勢だ。

 ギリシャ沖の地中海で今月から開かれている決勝では、深さ最大4千メートル、広さ500平方キロという広い深海が舞台。自律型海中ロボット(AUV)などを使って24時間以内に海底を調査。調査後48時間以内に3次元海底地形図を作製し、その正確さを競う。

 チームクロシオは、全長約6メートルのAUV2機を同時運用するという世界でも前例のない調査システムを採用する。2機のAUVは連携しながら海底近くの広い範囲を高速で自律航行して、地形の詳細なデータを収集することにしている。

 賞金総額は700万ドル(約8億円)で、結果は2019年3月末までに発表される。上位に入賞すれば、未知の世界が広がる深海でも通用する日本の優れた技術力をアピールできるほか、日本企業にとってはビジネス拡大につながることが期待される。

 出発式では、チームクロシオの中谷武志共同代表が「このプロジェクトには、いろんな方々に協力してもらった。結果という形で恩返しをしたい」と、上位入賞への意気込みを語った。

自律型海中ロボットの模型の前でポーズを決める「チームクロシオ」メンバー=23日、横浜市西区

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