【平成の長崎】特急かもめ横転 乗客ら40人超負傷 肥前長田―小江駅間 平成15(2003)年

 7月18日午後9時45分ごろ、諫早市高天町、JR長崎線の肥前長田―小江駅間で、長崎発博多行き特急かもめ46号(寺崎一彦運転士、六両編成)が脱線、横転した。乗員乗客40人以上がけがをした。長崎県警は本部に事故対策本部を、諫早署に現地本部を設置し原因の調査を始めた。

脱線、横転した長崎発博多行き特急かもめ46号=諫早市高天町

 乗員乗客は合わせて約120人。うち40人以上がけがを負った。寺崎運転士は胸の骨を折り重傷。寺崎運転士らによると、「線路に石があった」「転覆の少し前に揺れがありブレーキがかかって転覆した」と話しており、現場付近に直径約50センチの岩が残っていた。

 調べによると、1両目が進行方向の左側の土手に転落し大破。2両目は脱線し車体前部を左側にほぼ直角に向け、3両目は前の車両に乗り上げた状態。4両目以降は線路上で止まっていた。けが人は主に1両目と2両目の乗客だった。

 乗客の一人は「突然、何か物の上に乗ったような感じがした。窓ガラスが割れ、車内に悲鳴が響いた」などと事故当時の状況を話した。

 長崎県警によると、現場の手前の線路横に高さ5ー6メートルの切り通しがあり、土砂崩れによる落石の可能性もあるとみている。事故当時、現場は大雨で、前方確認がよくできない状態だった。

 現場は肥前長田駅の近く。水田が広がり、民家が点在する農村地帯。近所の人によると、「ゴゴゴゴー」という鉄が擦れるような音が10秒ぐらい続いたという。

 JR九州は19日午前零時半から、福岡市博多区の本社で、松本義博安全推進部長と青柳俊彦運輸部長が記者会見し、事故の状況などを説明した。
(平成15年7月19日付長崎新聞より)
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